平成28年度決算特別委員会「土木費」質問&答弁(議事録)

◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いします。建築物耐震改修等促進事業について伺います。
まず、事業の目的と昨年度の事業成果についてです。区は、平成20年3月に港区耐震改修促進計画を策定し、建築物の耐震化促進に取り組んでいます。首都直下地震の切迫性が指摘される中、安全で安心できる都市の実現を目指し、区民の生命と財産を保護するとともに、都市機能を維持するため、建築物の耐震化を計画的かつ総合的に促進することを目的として、耐震改修促進法に基づき策定され、東京都耐震改修促進計画、港区地域防災計画、港区防災街づくり整備指針と整合を図り、本年4月に港区耐震改修促進計画を改定しました。
建築物耐震改修等促進事業として、昨年度においては約6億8,200万円が支出されています。本事業は、建築基準法におけるいわゆる新耐震基準前の新築工事に着手した建築物のうち、主に住宅と緊急輸送道路沿道建築物を対象に耐震化支援を行っていますが、本事業の目的と、昨年度の事業成果についてお聞きします。また、現在、港区における住宅及び緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率がどのようになっているかについてもあわせてお聞きいたします。

◯住宅課長(増田裕士君)  建築物耐震改修等促進事業の目的は、港区耐震改修促進計画に基づき、区内にある住宅や緊急輸送道路沿道建築物の所有者などが当該建築物の耐震診断、補強設計、耐震改修工事、建て替え及び除却を実施するに当たり、これに要した費用の一部について助成金を交付することにより、耐震化を促進し、地震に対する建築物の安全性の向上を図り、災害に強いまちづくりを目指すことを目的としております。昨年度の事業成果は、耐震診断が36件、補強設計が12件、耐震改修工事が22件、建て替え・除却が9件です。
次に、耐震化率です。住宅については、住宅・土地統計調査をもとにした推計値になりますが、平成28年度3月末現在で87%、特定緊急輸送道路沿道建築物については平成28年3月末現在で90.9%、一般緊急輸送道路沿道建築物については平成27年3月末現在で76%です。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。住宅においては87%が耐震化されているという状況です。一方で、港区は昼間人口が非常に多く、90万人、100万人と言われている中で、帰宅困難者対策等も進めていますが、緊急輸送道路が倒壊してしまうと、そこにたどり着くこともできなくなるというような状況にもなります。住民以外の通路の確保といいますか、その辺についても、これから総合的にまちづくりとともに進めていかなければいけないのかと思っております。
次の質問に入りますけれども、本事業の推進に当たり、マンション管理組合の耐震化推進に向けた合意形成が重要なポイントだと思います。港区では圧倒的多くの住居が集合住宅、マンションになっているわけですけれども、管理組合の耐震化に向けた合意形成に向けていろいろなケースが今まであったと思います。合意形成がうまくいった事例、もしくはうまくいかなかった事例等があれば、それぞれ事例ごとに象徴するケース等についてお聞きしたいと思います。

◯住宅課長(増田裕士君)  合意形成が成功した事例といたしましては、耐震診断結果による補強計画が居住空間に影響がないことや、修繕積立金が十分にあり、資金計画に問題がない場合に区分所有者の合意が得られ、耐震改修工事を実施した事例がございます。合意形成が困難だった事例といたしましては、居住空間に耐震壁が必要となり狭くなることや、修繕積立金がないなどが理由で合意形成が図られない事例がございます。建て替えの場合については、主に資金計画、仮住まいや店舗に対する営業補償の問題が多く見受けられ、建て替えの障害になるケースが多く見られます。

◯委員(黒崎ゆういち君)  今のお話によると、耐震の構造物を後から取り付ける場合、どうしても耐震壁等のために自分の居住スペースを拠出しないとできない方と、一方で何も関係ない方とでは、耐震化に対しての思いも全然違ってくると思います。部分最適ではなくて、全体最適をどこまで図れるかというのは、いろいろな部分において行政の課題になると思いますけれども、そこの部分において、あくまでも区としてできることは限られるのかと。やはり管理組合が中心となって進めていく、決意を持って前進する中で、区はサポートできるのかもしれませんけれども、今のようなお話も踏まえて、港区全体の安全という意味では、個別の事情もご理解していただきながら進めていかないといけないと思いますので、よろしくお願いします。
また、大規模改修等に向けて、大規模マンション、タワーマンションを含めて、結構な修繕積立金を使う計画の時期に来ているという中で、防災にどこまで費用を拠出するかというところは、各管理組合においても争点になっていると聞いています。その辺も踏まえて、区のいろいろな選択肢を各管理組合等に提供していただけるようなご支援をいただきたいと思います。
最後に、建築物耐震改修等促進事業の数値目標についてです。
本年4月に改定した港区耐震改修促進計画では、建築物耐震改修等促進事業のさらなる推進のため、具体的な数値目標を設定しました。その数値目標の達成に向けて、現在どのような取り組みをされているのでしょうか。具体的な事例等があればお聞きいたします。

◯住宅課長(増田裕士君)  区は、これまでも分譲マンションに対して多様な支援を行っていますが、港区耐震改修促進計画の目標値の達成に向け、本年4月から要綱を改正し、耐震化に係る施策内容を拡充させました。具体的には、耐震診断助成の補助率を全額まで高め、限度額を450万円に引き上げ、建て替え・改修計画案等作成助成については補助率を上げ、全額150万円としました。また、建て替え助成につきましては、限度額を7,000万円まで引き上げております。今後は、建築物耐震改修等促進助成事業のさらなる普及啓発を行うとともに、まだ耐震化に踏み切れない分譲マンションに対して、無料で行っている耐震アドバイザー派遣事業や管理アドバイザー派遣事業を積極的に活用していただけるよう、PRなどに努めてまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いします。先ほどお話があったとおり、住宅は耐震化が87%終わっていると。そこを100%に向けて、あと13%を進めていく中で、今のような助成金や広報活動をしていくと。区では、木造住宅及び非木造建築物等のパンフレットを用意していて、それぞれのケースに合わせた対応が書いてありますが、これをいかに管理組合に届けるかとか、防災意識の高い方の目にとまるようにということについて、さらに努力して広報していただきたいと思います。引き続き、港区の安心・安全をよろしくお願いいたします。
以上です。

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