平成30年度決算特別委員会「民生費」質問&答弁(議事録)

○委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いいたします。2点の内容についてお伺いいたします。初めに高齢者民間賃貸住宅入居支援事業について伺います。さまざまな理由で現在の住まいから住み替えが必要であるにもかかわらず、新たな住まいが見つからず困っている高齢者が、良好な居住環境を確保できるよう支援する施策として、本年4月から公益社団法人東京都宅地建物取引業協会港区支部の協力を得て、民間賃貸住宅を紹介する高齢者民間賃貸住宅入居支援事業がスタートしました。過去にも同様の支援制度はありましたが、立ち退きの場合のみ利用できるもので、今回は自主的な住み替えを助成する事業になっています。本事業の申請フロー、そして現在までの申請件数、紹介件数、成約件数についてお伺いをいたします。

○高齢者支援課長(金田耕治郎君) 申請の流れにつきましては、申請者が希望する地域、間取り、賃料等の物件情報を記載した申請書を区に提出していただきます。区は、申請内容を公益社団法人東京都宅地建物取引業協会港区支部に送付し、区内に34店舗ある協力不動産店に条件に合致する物件の紹介を依頼いたします。協力不動産店からは、1週間程度で紹介できる物件情報が区を経由して申請者へ提供されます。その後は、申請者が直接協力不動産店と交渉をしていただくことになります。また、本事業の実績ですが、本年4月から現在までで申請件数が48件、紹介件数41件、契約件数3件となってございます。

○委員(黒崎ゆういち君) 始まったばかりですけれども、その後この9月から公益社団法人東京都宅地建物取引業協会港区支部に加えて、公益社団法人全日本不動産協会東京都本部港支部と連携協定を締結したとのことですが、本協定によりどれぐらいの協力不動産店の増加が見込めると考えるのでしょうか。また、貸し主から見た場合及び利用者から見た場合の、それぞれのメリットについてお伺いをいたします。

○高齢者支援課長(金田耕治郎君) 本年10月から新たに公益社団法人全日本不動産協会東京都本部港支部から物件の紹介を受けられるようになり、協力不動産店がこれまでの34店舗から21店舗増え、55店舗に拡大する見込みです。また、貸し主のメリットとしましては、高齢者が入居する場合に緊急通報システムの設置を要件としていることや、保証人がいない場合には区と協定を締結している保証会社を紹介することなど、貸し主の不安を軽減できることです。利用者のメリットとしましては、高齢者の入居を拒まない物件の紹介を受けることができますし、物件数も増えることが期待されます。

○委員(黒崎ゆういち君) 大変双方にとって有意義な関係になる、区が間に入って強いシステムだと思います。本事業は単身高齢者も対象となるわけですが、貸し主側としては、単身高齢者の場合、どうしても孤独死のリスクがあると言われています。それらのリスクを軽減するために、本事業では緊急通報システム、ALSOKの月400円というシステムを設置することが義務化されていますが、今後、本事業の需要が増えていくであろう中で、見守りのオプションも増やしていくべきだと考えますけれども、今後の展開についてどうお考えでしょうか。また、本事業の周知については、どのように展開をしているかもあわせてお伺いをいたします。

○高齢者支援課長(金田耕治郎君) 貸し主が高齢者が入居する際の不安を解消する対策としまして、緊急通報システムのほか、見守りサービスとして定期的に食事を届ける際に配達員が安否確認を行う高齢者配食サービスや、相談員が1週間に1回程度電話で安否確認や各種相談に応じる高齢者訪問電話、高齢者相談センターによる見守りなどがあり、いずれも本事業をあわせてご案内をしております。また、協力不動産店向けのパンフレットにこれらのサービスを掲載し、説明会でもご案内するなど、貸し主に対する不安軽減策について丁寧に説明し、ご理解いただけるよう努めております。本事業の周知につきましては、広報みなとや港区ホームページ、高齢者が利用するいきいきプラザなどの施設でのチラシ配布、ポスター掲示などを引き続き積極的に行いまして、住まいが見つからずお困りの高齢者に情報が届くよう努めてまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) このような実績が増えていくように、ぜひ周知も含めてよろしくお願いします。
 次に障害者の意思疎通施策の推進について伺います。本定例会において、保健福祉常任委員会では、手話が言語であることの理解の促進及び障害の特性に応じた多様な意思疎通手段の利用の促進に関し、必要な事項を定めるため、港区手話言語の理解の促進及び障害者の多様な意思疎通手段の利用の促進に関する条例を制定する審議が、今まさに行われている最中であります。また、港区議会においても、本会議における代表質問及び一般質問時に、手話と字幕による聴覚障害者や高齢者に向けた意思疎通施策の導入が検討をされています。障害者の意思疎通施策の手段としては、聴覚障害者にとっての手話通訳や要約筆記の配置、視覚障害者にとっての点字や音声コード、知的障害者にとってのコミュニケーションボード等があります。これらは港区が掲げる多様な人と共生する地域社会の実現に向けた取り組みの推進をしていくための具体的な施策になると思います。区として障害者の意思疎通施策の基準となる統一した方向性と考え方を示すことにより、本条例を全庁的に、また公的機関だけでなく、関係する全ての団体や法人のスタンダードとなっていくためには、どの領域において、どのレベルの意思疎通施策を準備するか。区が主催するイベントにおいてどのような対応を行い、どこまで準備し、配置をしていくのか等の基準を示すための意思疎通ガイドライン的な提示が必要だと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

○障害者福祉課長(横尾恵理子君) 障害者に対する意思疎通のための支援方法や手段は、障害の特性によってさまざまに異なります。そのため、障害者が個々の状況に合った必要な情報を確実に取得し、意思疎通のための手段をみずからが選べる環境を整えることが重要です。このことから、区では、例えば聴覚障害者のために、手話通訳者だけではなく要約筆記者を配置する方法や、視覚障害者などのために、会議などでの資料提供は紙媒体だけではなく、内容を音声で読み上げるようデータ化し提供するなど、配慮の方法について統一した考え方を整理し、お示しいたします。今後、その取り組みの1つとして、区職員や事業者の方などに対して、障害者の立場に立った意思疎通のための支援方法や手段についてわかりやすく解説したガイドラインを、条例の施行に合わせて策定してまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) 一気に進めることは多分できませんし、一気に進めることでいろいろな、メリットよりデメリットの方が多いと思います。目標を定めつつも、段階的、そして利用者の目線に立って、いろいろなトライアルを重ねていきながら、試行錯誤してぜひいいものに進めていっていただきたいと思います。
 一方、手話通訳者の確保や、手話通訳者の育成施策も同時並行で行っていかなければ、本施策の推進は追いつきません。区民が手話が言語であるということを理解を進め、障害者の円滑な意思疎通を可能にするためには、区のイベントなどにおいて手話通訳者の配置をより進めていくことが必要です。そのためには、手話通訳者という人材を確保することが不可欠です。また、手話通訳者として活躍できる人材になるには時間がかかることから、養成についても取り組みを進める必要があります。そこで、障害者の意思疎通施策を推進していく上で、手話通訳者の確保や養成に関する今後の課題について、どのような認識を持たれているかをお伺いいたします。

○障害者福祉課長(横尾恵理子君) 手話通訳者には専門的かつ高度な技術が必要とされるため、区では入門から養成の5つの段階に分けてクラスを設けております。養成クラスを終了した方を対象として登録試験を実施しており、養成には少なくとも5年以上の時間を要している状況です。また、近年増加している通訳の派遣依頼に対応するため、手話通訳者の人数のさらなる確保が必要であることなどが課題であると認識しております。今後、聴覚障害者や手話通訳者との懇談会などを通じて、いただいたご意見やご要望を参考に、手話講習会のクラス、実施回数や定員の拡充など、手話通訳者を確保するための方策について検討してまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) 全国的にこれは広がっていく流れですので、今課長がおっしゃったとおり、取り合いという状況になってきていると思います。なので、先手を打っていく中で、いろいろとAI、IP使用も含まれたよりよいものにしていくため、まずはスタートを切っていただくということが重要だと思いますので、よろしくお願いします。
 最後に障害者が活躍する機会の周知についてでございます。東京2020大会に向け、パラスポーツの位置づけは明確になってきています。やはり、スポーツは国籍や性別、障害の有無にかかわらずみんなで応援でき、わかりやすいことから、共生社会へのレガシーとするべくハード、ソフトの準備が進んでいることになっております。一方、身体障害者や視覚障害者の世界大会であるパラリンピック以外の障害者スポーツとして、聴覚障害者の世界大会であるデフリンピック、知的障害者の世界大会であるスペシャルオリンピックス等もあります。スポーツというシーンにおいて障害者が世界的に活躍する場面も、健常者も含めてみんなで理解し、応援する機会となることは大変有意義であり、地域共生社会の実現の第一歩であると考えます。港区では現在、障害者スポーツの施策の推進については企画経営部のオリンピック・パラリンピック推進担当、教育委員会事務局教育推進部の生涯学習スポーツ振興課がそれぞれ展開していますが、障害者と常に接する障害者支援課として、広報みなとでの「パラスポーツのなんだろな」連載企画も含めて、区の広報媒体を使った、障害者の活躍する機会の周知施策について、どのような展開をお考えになられているかお伺いいたします。

○障害者福祉課長(横尾恵理子君) 区は、障害者が活躍する機会について、スポーツ活動においては広報みなとのコラムの中で、パラリンピックの競技を中心に障害者スポーツの魅力や競技の説明、活動団体の紹介をしております。また、障害者の文化芸術活動については、障害児・者が制作した作品のアート展を国立新美術館で毎年開催しており、広報みなとやチラシなどで周知しております。今後も障害者記念週間事業などさまざまな機会を捉え、デフリンピックやスペシャルオリンピックスなどの障害者スポーツへの理解だけでなく、障害者が作製するアートの作品展、商店街の街灯フラッグをリサイクルしたバッグ作製などの障害者就労の取り組みなど、障害のある方が活躍する場面を多くの方々に知ってもらえるよう、区民の方への周知に努めてまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いします。ありがとうございます。

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