平成30年度決算特別委員会「土木費」質問&答弁(議事録)

○委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いします。最初に、エスカレーターの正しい乗り方について伺います。エスカレーターは安全面から歩行での利用は想定していないものの、片側に立ちどまり、急ぐ人は反対側を歩く習慣が根づいています。これは片側あけルールとして、港区内のみならず、地域によって左右どちらをあけるかは別にして全国的な暗黙のルールになっています。本来は歩かないことが正しい乗り方だそうです。ただ、駅や空港、商業施設等で、急いでいる人たちのために右側をあけることがマナーになっているのが現状です。一般社団法人日本エレベーター協会によると、「慣例となっているエスカレーターの片側あけは、危険や不便を伴う行為だということが少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています」としています。そのような状況の中、東京消防庁管内だけでも年1,400人前後がエスカレーターの事故で救急搬送されているため、歩行防止が課題となっているJR各社や全国の私鉄事業者などは、みんなで手すりにつかまろうキャンペーンを昨年夏に展開。また、ことしはエスカレーター乗り方改革と題し、「手すりにつかまるだけでなく、歩かずに立ちどまる」と、初めて直接的に呼びかけをしました。一方、公益社団法人東京都理学療法士協会は、「わけあってこちら側で止まっています」というキーホルダー、これはきょうお借りしてきましたが、マタニティマークみたいな感じのキーホルダー、これをかばんにつけることで後ろに見えるようにするみたいなのですけれども、このキーホルダーをことし8月までに5,000個を希望者に無料配付、希望者が多過ぎて今製作が追いつかない状況だそうです。
 法令ではエスカレーターの正しい乗り方について明確な定めはなく、現場や個人の判断に任せられているため、自主的な啓発活動を行っていくことが、エスカレーターのマナーがモラルに変わっていくことになろうかと思いますが、区の見解をお伺いします。

○建築課長(瀧澤真一君) エスカレーターのマナーについて、事業者などが行う啓発活動は、利用者の意識の変化が期待できるものと考えており、区もその必要性を認識しております。区が管理している品川駅港南口交通広場などのエスカレーターにおいて、立ちどまって利用することを呼びかける表示を行っておりますが、このような対策を実施しない民間建築物などへも広げていくことが課題と考えております。

○委員(黒崎ゆういち君) 利用者へのマナーアップの啓発活動は、今回答がありましたエスカレーターの所有者が行うことになります。先ほど述べたとおり、事故が多く発生するエスカレーターの所有者では、JRや私鉄事業者の人たちのみが自発的なキャンペーンを行っているのが現状であります。港区内の多くのエスカレーターの所有者に対してアプローチできるルートを持っているのが唯一建築課であります。年に1度、定期点検の報告義務がありますが、まず、その対象となるエスカレーターの台数は港区内に幾つあるのでしょうか。そして、その際にエスカレーターの正しい乗り方を呼びかけていただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

○建築課長(瀧澤真一君) 区が所管している定期報告の対象となるエスカレーターは、平成30年度末現在227台です。その所有者または管理者に対して、定期報告の副本を返却する際に、正しい乗り方の利用者への呼びかけの啓発を促すチラシを添付し、また、メーカーへのヒアリング時などの機会を活用して周知を図ってまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いします。港区内こんなに広くて227台しかないのだなというのが現状驚いたところです。一方、千葉県千葉市では、市有エスカレーターの安全利用に関する指針ということで、今申し上げた内容を注意喚起する指針を定めています。港エスカレータールールということができるかどうかわかりませんが、一番来街者が多いこのまちの中において、エスカレーターの右側にとまっていると、どいてくれということがないような文化・モラルが育つように、よろしくご指導いただきたいと思います。
 次の質問です。電線類の地中化について伺います。港区では平成8年に電線類地中化の第1次基本方針を策定、その後、平成16年に国が策定した無電柱化推進計画及び電線共同溝の技術革新を踏まえ、平成17年に第2次基本方針を改定しています。その後、国内で頻繁に発生する災害や、来年の東京2020大会開催に向けて、宿泊施設や商業施設等が集積するここ港区では、世界じゅうから多くの人が訪れることが想定されることから、区内全域で都市防災機能の強化のため、バリアフリーの推進や安全で快適な歩行空間の創出、美しいまち並み景観の形成の視点から、電線類地中化の必要性がますます高まってきている状況にあります。
 また、現行の基本方針が作成された後に東京都は平成19年に東京都無電柱化方針を作成し、その後、国も平成22年に無電柱化に関するガイドラインを策定し、さらに東京都が平成23年に2020年の東京都の姿として、センターコアエリア内の都道の無電柱化完了を掲げた背景を踏まえ、電線類地中化をより一層効果的に効率的に推進していく必要があることから、港区は平成25年度に基本方針を改定しました。これらの背景によって基本方針及び関連計画に基づき、関係機関と連携して電線類地中化を推進していこうとしていますが、平成29年度末までの区道における整備延長は約48キロメートル、区道延長に対する地中化率は21.9%にとどまっていると聞いています。最終的には地中化率100%を目指している中、狭い道路への地上機器の設置、また、高額な費用などの課題があることから、事業の完了には長期間を要すると思います。現在の港区内における国道、都道、区道それぞれの地中化率をお伺いします。また、区道の地中化について、今後どのような展望をお持ちなのかお伺いいたします。

○土木課長(佐藤雅紀君) 平成31年3月末時点の区内の国道、都道及び区道における地中化率は、国道が100%、都道が約75%となっており、区道については整備延長が49.7キロメートル、区道延長に対する地中化率は22.4%となっております。今後の展望につきましては、港区電線類地中化整備基本方針に基づき、地中化が特に必要で優先的に整備すべき優先整備地域の中から、約15キロメートルの優先整備路線を選定し、令和5年度までの整備完了を目指して整備を実施しております。

○委員(黒崎ゆういち君) 令和5年度ということで、ターゲットが明確になっている中、国道は100%、都道が75%だそうです。港区においては昼間人口100万人という立地の特性上、大企業の本社が集積しています。再開発等においては、電線類地中化を開発計画に折り込み、行政の負担なしで推進している事例もあると聞いておりますが、これらの枠組みを活用し、民間企業による電線類地中化を進めていく施策展開の可能性についてお伺いします。また、再開発事業など民間事業の中で、都道に対する電線類地中化を港区が誘導していくことも可能かも含めてお伺いいたします。

○土木課長(佐藤雅紀君) 区はこれまで民間開発事業等の機会を捉え、電線類地中化の整備を誘導してまいりました。また、昨年度からは総合設計制度など都市開発諸制度を活用する開発においては、開発区域内の道路の地中化が義務化されました。今後区はこの制度により開発区域内にあわせて区域周辺の道路についても地中化の整備・拡大を図れるよう、民間事業者と協議を行い、区事業者との連携により電線類の地中化を推進してまいります。また、再開発事業などの際には、民間開発事業者に対し開発区域周辺の都道の地中化についても積極的に誘導してまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) お願いします。この前の台風15号の影響でブラックアウトという話が今回の決算特別委員会でもたくさん出ておりますが、やはり電線類地中化は、この土木費の款においても皆さん関心がある事項だと思います。1つ、ふるさと納税みたいな格好で防災力を高めるまちづくりということで、区民からも寄付を募ったり、もしくは、一部具体的な話があるのですが、法人が持っている敷地の前を無電柱化にしたいという相談も寄せられておりますので、区だけの計画でなくて、いかに民間なり地域の方の力を活用して、無電柱化を推進していくような手法をつくれるかも含めてご検討いただきたいと思います。
 次に品川駅周辺のまちづくりについて伺います。品川駅周辺においては、2027年のリニア開通にあわせてJR高輪ゲートウェイ駅が2020年に暫定開業、JR高輪ゲートウェイ駅周辺開発が2024年にまち開き、新駅東側連絡通路がJR高輪ゲートウェイ駅周辺開発とあわせて2019年4月に都市計画が決定、京浜急行の連続立体化による京急品川駅の地平化が2018年12月都市計画決定、今後、事業認可を経て事業がスタート。品川駅前の国道15号線の拡幅事業がことし9月に事業承認され、事業がスタート。国道15号上空デッキ整備を東京国道事務所が検討。環状4号線港南区域と高輪区域事業整備がことし7月に事業認可され事業がスタート。品川駅南側自由通路の整備検討。品川地下鉄構想の白金高輪・品川間の計画など、国、東京都、鉄道事業者の事業が目白押しとなっています。
 また、これにあわせて民間事業者のプロジェクトも多数発生すると考えられます。これらの基盤整備と民間開発事業者のプロジェクトがあわさって、これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点品川を形成し、港区の発展にも寄与するものと考えられますが、多数のプロジェクトが並行で行われることとなり、それら指導を行う品川駅周辺街づくり担当としては、業務が急激に増えて大変多忙であると思います。同エリアは港区の発展においては大事な地域であり、今がさまざまな調整や意思決定を行うとても大切な時期であると考えます。品川駅周辺のまちづくりにおける現在の状況と課題、懸案点についてお伺いをいたします。

○品川駅周辺街づくり担当課長(増田裕士君) 品川駅周辺では、2027年のリニア中央新幹線開業にあわせ、京急品川駅の地平化や2面4線化、JR東日本の品川駅改良など、品川駅の再編に向けた計画が進められるとともに、西口駅前広場の整備や既存自由通路の延伸など、駅周辺の歩行者空間の拡充についても検討が進められております。今後は品川駅の再編や駅周辺の歩行者空間の拡充に加え、環状4号線の整備や国道15号の拡幅、それらと連携した開発などの計画が長期的かつ段階的に進められます。2027年の完成に向け、駅前広場や自由通路の工事がふくそうすることから、各事業間の的確な調整が必要と考えております。

○委員(黒崎ゆういち君) まさに大規模な再開発が半径1キロ以内に同時多発的に2024年や2027年に向けて進行しています。品川駅周辺街づくり担当においては、さまざまな開発における個別最適の計画を俯瞰した全体最適を果たしていただくとともに、開発を指導・推進する立場において、鉄道事業者や民間開発事業者のスピード感と対峙し、さまざまな相談や調整に対し、迅速かつ適正に意思決定を行い事業を推進していく必要があると思いますが、それらの対応をどのように進めていこうとしているのかお伺いいたします。

○品川駅周辺街づくり担当課長(増田裕士君) 品川駅周辺街づくり担当では、関係機関と毎月定期的に会議を開き、個別地区の計画についての情報共有や意見交換を行っており、関係各課とも連携しながら、法令要件やまちづくりの効果、周辺事業との整合等に関し協議を行っております。さらに国や東京都とともに、品川駅前をはじめとした複数の開発計画を総合的に調整しております。今後も回遊性やバリアフリーに対応したネットワーク、自転車対策、低炭素まちづくりに向けた取り組みなど、分野横断的な調整が必要なため、事業者との意見交換を密に行うことで早期の事業化を図り、品川駅周辺のまちづくりを円滑に進めてまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) お願いします。今現在5人体制でやられていると思いますが、ほかの地方都市に行けば、この開発を全県というか全市でやるようなものが半径1キロの中にどーんと集まっていると思いますので、ぜひ今お話があったような体制も含めて、行政の指導体制を確立していきながら、スピード感を持って進めていただきたいと。よいまちにしていただきたいと思います。終わります。

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