◯委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いします。最初に、港区観光振興ビジョン策定について伺います。まず、港区観光振興ビジョンの担い手となる港区観光協会についてです。来年度予算案における観光振興ビジョン策定は、港区において第3次観光振興ビジョン策定であり、2年後にはラグビーワールドカップ2019日本大会、そして、3年後には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、まさに待ったなし、そして、正念場の観光施策であり、それらを推進していくためのベースとなる大変重要な位置づけであると認識しています。その重要な港区観光振興ビジョンを実行する担い手は、当然、港区観光協会でありますが、さらなる活動の活性化と基盤強化を推進していくためにも、法人化は避けられない状況にあると考えます。
質問は、港区観光協会の法人化に向けた検討状況は今どうなっているのか、状況をお聞きいたします。
◯観光政策担当課長(重富 敦君) 港区観光協会の活動基盤の強化につきましては、昨年5月の定期総会におきまして法人化に向けた検討を開始することが承認されております。その後、港区観光協会内の法人化検討委員会におきまして主体的な検討が進められ、事業領域の拡大、信用度の向上、リスクマネジメントの強化等を図る上で法人化が必要という認識が高まっている状況でございます。
◯委員(黒崎ゆういち君) 平成29年1月に行われた港区観光協会の新年会でも、渡邉会長の「重大な決断をしなければいけない局面だ」というお言葉も出ていました。ただ、そこを超えていくことで、いろいろと発展が待っている、そのような環境が日本を取り巻いているという認識の中で、次の質問に移ります。
港区版DMOへの移行についてです。平成28年度予算特別委員会において、港区版DMOの設立は、港区のブランド向上や新たな施策展開につなげていく意味でも大変意義があるという課題提言をさせていただきました。重富観光政策担当課長からは、DMO(Destination Management Organization)とは、観光、自然、職、芸術、芸能、習慣、風俗など、当該地域にある観光資源に精通し、地域と協働して観光地域づくりを行う組織体のことであり、特に観光庁が規定した日本版DMOとは、地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する観光地経営の観点に立った観光地域づくりのかじ取り役として、多様な関係者と協働しながら観光振興ビジョンに基づく明確なコンセプトにより観光地域づくりを実現するための戦略を作成するとともに、戦略を確実に実施するための調整機能を備えた法人であるとお話を伺っています。
改めてお伺いすることになるのですが、港区観光協会がこの港区版DMOへ移行する可能性について、どのように捉えられているか、区の見解をお聞きいたします。
◯観光政策担当課長(重富 敦君) 観光にかかわる多くの関係者を巻き込み、データの収集・分析や、民間的手法の導入、数値目標の設定、PDFサイクルの確立など、戦略的に観光振興のかじ取り役を担うDMOは各地で設立されておりまして、現在、全国で123件、都内では墨田区観光協会が唯一認定をされております。港区観光協会における法人化の検討の中でも、団体の将来像としてDMOを目指していくことが議論されております。港区版DMOの登録要件としましては、法人格の取得が必須の要件となっております。今後、観光協会の法人化が実現した場合、次のステップとしましては、DMOへの移行が現実味のある目標となってくるものと考えております。
◯委員(黒崎ゆういち君) 一足飛びにはいきませんが、そうは言っても、2019年、2020年と、もう時間がありませんので、よろしくお願いいたします。
次に、シティプロモーション推進事業について伺います。ラグビーワールドカップ2019日本大会に向けた取り組みについてです。かねてより、2019年、2020年と、2年連続で世界三大スポーツイベントの2大会が日本にやってくる奇跡を、いかにしてそのメリットを港区にもたらしていくかを申し上げてきました。来年度予算案においても、全庁上げて有形無形のレガシー創出に取り組まれる内容になっていることは大変うれしく思っております。一方、新国立競技場の完成がおくれたことによって、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕戦が東京都調布市の味の素スタジアムに、決勝戦は神奈川県横浜市の日産スタジアムで開催されることになりました。このままいくと、2019年は、日本ラグビー界の聖地、秩父宮ラグビー場では何も行われない状態になりかねません。大会期間中は約40万人が来日します。聖地を擁する港区が中心となって、開催12都市と秩父宮ラグビー場をつなぎ、全国からワールドカップを観戦しに来た外国人が聖地巡礼をするかのごとく港区を訪れ、滞在し、受け皿となり、消費購買行動に確実につなげていくプロモーションを仕掛けていくことは、まさに港区版DMOであり、港区にしかできない観光施策と考えます。区の見解をお聞かせください。
◯観光政策担当課長(重富 敦君) 昨年策定した、港区シティプロモーション戦略では、2019年のラグビーワールドカップ2019日本大会、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を節目と捉え、それまでの間プロモーションを集中展開していくことを掲げております。また、戦略の中では、プロモーションの実践にあたりまして、スポーツイベントの活用や全国自治体との連携を掲げております。世界が熱狂するラグビーワールドカップ2019日本大会といった大きな大会を好機と捉えまして、開催都市等と連携したプロモーションを展開することは、ラグビーの聖地を有する港区のブランド力の向上や、青山エリアを中心とする地域の活性化はもとより、我が国全体の観光客数の底上げ、スポーツを通じた交流などにもつながる意義ある取り組みと考えております。イベントにあわせたPRブースの出店ですとか、秩父宮ラグビー場周辺のガイドツアーなども含め、多様な連携の可能性を模索してまいります。
◯委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いします。ちなみに、ラグビーワールドカップ2019日本大会の経済効果ですが、試算によりますけれども、国内の経済効果は4,200億円、東京都の経済効果は824億円、宿泊等消費効果は207億円、大会視聴者数40億人、先ほど申し上げた訪日外国人数40万人、雇用創出効果が約4万人という数字も出ております。ぜひ、日本の中心、東京の中心である港区が全国につながるような展開をお願いしたいと思います。
最後に、社会保険労務士派遣事業について伺います。平成29年度予算特別委員会総務費においても、働き方改革に向けたICT活用の推進状況について質問しました。昨今の労働環境の整備は大きな社会問題となっています。いわゆる大企業と呼ばれて労働組合が存在する規模の会社ですら、職場環境を整備するためにさまざまな努力や取り組みを重ねています。ましてや中小企業における賃金制度、人事制度、就業規則等が昨今の社会情勢に見合った内容になっているかを悩んでいる中小企業の経営者は多々存在します。経営・労務の専門家である社会保険労務士に気軽に相談できる機会を提供することは、港区内からブラック企業を発生させないために大変有効と考えます。
質問は、既に行われている創業アドバイザー派遣事業と同様の枠組みで、社会保険労務士派遣事業も整備していくべきだと考えますが、区の見解をお聞きいたします。
◯産業振興課長(有賀謙二君) 区内中小企業が適正な労働環境を整備していくことは、経営者の責務として重要であり必要なことでございます。現在、区では、事業者の個別の経営相談に対して中小企業診断士が無料で3回まで事業所に出向く出前経営相談を行っております。労働問題の相談については、社会保険労務士の資格をあわせ持つ中小企業診断士が相談対応できるよう体制を整えてございます。社会保険労務士の派遣事業につきましては、区の経営相談業務の全体の中で社会保険労務士の活用を検討してまいります。
◯委員(黒崎ゆういち君) ありがとうございます。港区はベンチャー企業創業に向けた支援は非常に手厚くなっていると思います。当然、ベンチャー企業ですから、最初に会社をつくったときは自分が全部やるのだと言って覚悟を持って、寝ずにでもやるだけのモチベーションを持って進んでいくわけなのですが、事業が大きくなればなるほど、その思いを持った人間が自然と分身するわけではなくて、雇用する形で部下を持って仕事を回していきます。そのときに、自分と同じ思いを従業員の方に持っていただけるかと言うと、なかなかそういうモチベーションにはならないと思います。そのような会社が大きくなる機会を区がサポートする中で、5年後や6年後、まさに会社が大きくなっていったときに、こういうこともあるよということを啓発していくこともぜひ含めてご検討いただければと思います。
以上です。
▼上記質問の動画は「港区議会インターネット録画配信システム」で下記URLでご覧いただけます↓