平成28年度予算特別委員会「民生費」質問&答弁(議事録)

【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いします。
 まず、店舗等のバリアフリー化を推進する支援策についてです。
 区では、バリアフリーという言葉がまだ一般的でない今から25年前の平成3年3月に港区福祉のまちづくり整備要綱を定め、店舗等におけるバリアフリーの整備費補助金を交付する制度を同年4月に、他自治体に先駆ける格好で施行しました。近隣自治体でも、現在は練馬区や西東京市で、小規模な店舗、ここでいう小規模な店舗とはレストランやサービス店等や診療所、公衆浴場等にバリアフリー改修費用を負担する同様の助成制度があります。具体的には、1、道路から出入り口に至る通路部の段差解消のための改修工事、2、出入り口における段差解消及び引き戸や自動ドア等の改修工事、3、高齢者や障害者も利用しやすいトイレを改修する工事などであります。
 練馬区では、同制度を利用し改修した施設に助成整備済みステッカーを貼付し、同制度をPRしています。一方、港区では、平成3年4月から施行されている港区福祉のまちづくり整備費補助金が、本日現在、大変残念ながら平成7年度に1件、45万3,000円の交付にとどまっております。港区は23区で1位の飲食店数、実に1万5,423店舗を抱え、さまざまな施設が密集し、昼間人口が100万人と言われている日本有数の店舗密集地であります。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、店舗等のバリアフリー化は、相当なニーズがあると思いますが、本制度が結果的に形骸化されている問題は何にあるとお考えでしょうか。また、今後この制度をどう改善するのか、区の見解をお聞きいたします。
【答弁内容】
◯保健福祉課長(西田京子君)  福祉のまちづくり整備費補助金の利用実績が少なく、十分に活用されていない原因の1つとして、補助対象となるための要件が考えられます。区が、障害者や高齢者などを含む全ての区民が区内の公共的建築物等を安全かつ快適に利用できるよう平成3年10月に制定した港区福祉のまちづくり整備指針には、バリアフリー化のために最低限行わなければならない基準と、よりバリアフリー化を高め、補助金対象となる基準の、2つの基準があります。例えば、小規模建物の出入り口の幅について、車椅子が通過できる最低限の基準では幅80センチ以上としているのに対し、補助金対象となるには高いバリアフリー基準である85センチ以上を求めているため、事前協議があるものの、実際の補助金支給につながっておりません。現在、対象者や対象となる整備内容の見直しを行い、より利用しやすくバリアフリー化を推進する助成制度となるよう、事業のあり方を検討しております。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  今の質問は、私の友人が飲食店を開く際に、だれでもトイレをつくりたいと。ただ、これは非常に流通性も低く単価も高くて、しかも客席を10席つくれるところを8席にしなければいけないという中で、自分はやりたいのだけれども区や東京都の支援がないかというような話があって、調べてみたらなかなか見つからなかった。
 今の時代、議事録もそうですけれども、インターネットで検索をかけますね。バリアフリーという言葉やバリアフリー補助金と検索すると、出てくるのは練馬区とか西東京市なのですが、残念ながら港区は出てきませんでした。その理由としては、港区福祉のまちづくり整備要綱という文言が一因でもあると思います。同じようなことは多々あるかもしれません。例えば、ダイバーシティやオーラルケアなど、皆さんが今当たり前のように扱っていることが制度の中で文字として残ってしまうと、変えなければいけないようなこともありますので、ここら辺の改善も見直していただくように要望させていただきます。
 次に、バリアフリー先進モデル地区の実現についてです。通告は「バリアフリー特区について」としていますが、特区という表現は国家戦略特区を連想させる表現であるため、今回は、バリアフリー先進モデル地区を実現するという意味で捉えていただきたいと思います。
 区では、港区バリアフリー基本構想推進協議会を設置し、平成26年9月に港区バリアフリー基本構想を策定、浜松町駅、赤坂駅、六本木駅、白金高輪駅、田町駅の5つの駅及び各地区総合支所の周辺を重点整備地区に選定し、それぞれの周辺地区の基本構想に基づき、駅や道路、公園、建築物の施設設置管理者等がバリアフリー化の事業を計画的に進めているものです。本構想は、基本的に、公共交通である鉄道やバス、道路、公園、音響式信号機、だれでもトイレ、サインを整備する構想であります。
 先ほど質問した民間の店舗等を含めたバリアフリー化をまちづくりで推進し、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、日本で一番バリアフリーなまちを港区が先駆的に整備する意義は、はかり知れないと思います。つきましては、港区バリアフリー基本構想の整備とあわせて、民間の店舗や施設、企業等を巻き込み、地域で暮らす人や働く人々も一緒に心のバリアフリーを推進しながら、バリアフリー化の重要性や必要性を認識してともに行動することが重要であります。ハード面、ソフト面を兼ね備えた、日本で一番バリアフリーなまちを実現するためには、重点整備地区内に先駆的にさまざまな取り組みを行うバリアフリー先進モデル地区を設けて、バリアフリー化を一気に進めていただきたいと思います。これは強く要望いたします。
 試案ですが、赤坂見附駅付近などはバリアフリー先進モデル地区として非常にいいと私は思っております。複数の地下鉄が乗り入れ、大型ホテルが多数存在し、CSRを積極的に行う大企業があります。52年前に青山通りを聖火が通った歴史の中で、今は新虎通りが東京オリンピック・パラリンピック競技大会の象徴となっていますが、新国立競技場までの間に同地区はあります。東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けた大きな要素となりますので、この点もご検討いただければと思います。
 次に、民間学童クラブについてです。平成27年度から子ども・子育て支援新制度がスタートし、民間事業者、ここでいう民間とは、株式会社で顧客ニーズに基づいて送迎や教育を付加して、月額3万円から6万円程度の月会費を徴収している会社ですが、学童クラブを実施する場合、あらかじめ市区町村に対して児童福祉法施行規則に定められている事項について、届け出を行うことが義務づけられています。また、届け出を行った民間事業者は、運営状況や事故に関する報告などもすることになっています。質問ですが、本制度において民間学童クラブを開設する場合、事前に港区長への届け出を規定していますが、現状、その届け出は何件ありますでしょうか。
【答弁内容】
◯子ども家庭課長(長谷川浩義君)  現在、港区内におきまして、児童福祉法に基づく区への届け出を行っている民間の学童クラブはございません。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。届け出がない理由としては、児童福祉法上の学童クラブとして事業を実施しない、類似の事業については、児童福祉法上の規制にかかわらず運営することが可能となっているとあります。つまり、その有意性を認め、届け出をしなくてもよいケースとして、塾やスポーツ教室といった、保育という観点に当てはまらない類いのものが民間学童クラブと称して事業を行っております。この数は、インターネットで検索しますと10件、検索の仕方によってはそれ以上出てくるものだと思います。
 平成28年2月1日現在の区の学童クラブは、直営の児童館が5施設、指定管理による中高生プラザなどが6施設、業務委託が17施設の合計28施設で、小学校1年生から6年生まで2,593人が定員となっているに対し、現在1,942人の児童が放課後を学童クラブで過ごしております。また、現在の学童クラブにおける待機児童数は19名。これはほぼ待機児童ゼロに近いという状況だと聞いております。なお、平成28年度はさらに拡大して定員2,670名とし、2,428人が入会する見込みです。
 このように、公設公営、公設民営の施設が拡充している港区内では、先ほど述べた民間学童クラブの需要がないという理解でよろしいものでしょうか。また、区の学童クラブと民間学童クラブのメリット・デメリットをそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
【答弁内容】
◯子ども家庭課長(長谷川浩義君)  児童福祉法に基づかない民間学童クラブは、区への届け出義務がないことから、正確な実態は把握できておりませんが、区内にも複数の施設があることから、一定の需要があるものと考えております。このような民間学童クラブは、深夜までの児童の預かりをはじめ、多様なニーズに応じた高付加価値のサービス提供が特徴と言えますが、提供するサービスに比例して保護者が負担する料金が高額になるという側面がございます。一方、区の学童クラブは、保護者の就労等の事情で放課後に家庭での保護が受けられない全ての児童に、安全・安心な居場所を提供し、健全育成を支援しております。日常の遊びやイベント等の企画については学童クラブごとに工夫を凝らしておりますが、開設時間やおやつの提供など基本的なサービスについては統一しております。なお、区の学童クラブでは、おやつ代の実費負担以外に、利用料等の負担を設けておりません。両者は事業の性質が異なることから、児童の保護者がニーズに応じて選択し、利用いただくべきものと考えております。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  今課長にお答えいただいたとおりですが、やはり、どこをもって放課後児童健全育成事業とするかというところ、どこで線を引くかというところは非常に重要なポイントであります。当然区としては、最低限という言い方ではあれですけれども、今、無料で使えるというお話もありましたので、無料で使える基準に合わすべきだと思いますが、利用者目線で学童クラブをオール港区で考えた場合、これらの民間学童クラブが増加することで、例えばスポーツや英語などの特徴があるプログラムにより、多様なラインナップがそろい、家庭環境によるさまざまな選択肢が持てる、そのような多様性や有意性ある地域に港区がなっていくことを期待し、質問を終わります。
▼上記質問の動画は「港区議会インターネット録画配信システム」で下記URLでご覧いただけます↓
http://www.minato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=speaker_result&speaker_id=133

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