【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君) まず、港区版DMOの設立についてお伺いいたします。現在、観光庁が地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的アプローチを取り入れた観光地域づくりを行うかじ取り役として、地域全体の観光マネジメントを一本化し、着地型観光のプラットフォーム組織となるDMO、ディスティネーションマーケティング、もしくは、マネージメントオーガニゼーションの形成、確立を全国的に推進しております。
DMOとは、公益社団法人日本観光振興協会によると、地域を1つの集客装置と見立て、観光集客を推進するプラットフォームであり、行政や観光協会、旅行関係事業者だけでなく、商工会、産業団体、商店街などの主要団体や観光と関係のない方々も含めた地域全体の取り組み体制を意味しております。
DMOの候補となり得る法人を観光庁に登録すると、登録を行った法人及び、これと連携した事業を行う関係団体に対して、関係省庁が連携して支援を行うとしております。港区の場合、基礎自治体である単独区市町村の区域を一体とした観光地域として、マーケティングやマネジメント等を行うことにより、観光地域づくりを行う組織として、地域DMOとして登録することになります。
東京23区における地域DMOの登録は、一般社団法人墨田区観光協会のみとなっているのが現状です。一方、平成26年10月に、東京都と公益財団法人東京観光財団が、東京ビジネスイベンツ先進エリアとして六本木・赤坂・麻布エリアを指定、全世界のイベントプランナーに対し、効果的なビジネスイベントをより簡単に開催するために、同地区の民間企業、団体等により、DMO六本木が共同設立されています。ビジネスイベントの開催時の施設、ホテルの予約を初め、前夜祭や後夜祭の開催、ショッピングや日本文化と触れる機会の場所の提供等、エリアが連携してワンストップで対応できることを強みとしています。
ちなみに、検索サイトで「DMO TOKYO」とアルファベットで検索すると、DMO六本木が最上位に表示されています。また、DMO六本木には週に一、二件程度の問い合わせが海外から来ているとのことです。これは、海外からも認知されているものと思われます。
質問は、さまざまな要件があり、一足飛びに観光庁の認定登録とはいかないと思いますが、港区版DMO設立を見据えて、観光施策を実施していくことは、港区ブランドの向上や地域振興の連携、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたさまざまな施策への展開につながる意味でも大変意義があると思いますが、区の見解をお聞きいたします。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君) 観光庁が取り組む新たな戦略的観光マネジメントのための地域組織、いわゆるDMOは関係者の巻き込みが不十分、データの収集・分析が不十分、民間的手法の導入が不十分といった観光地域づくりにおける課題の改善に向けたかじ取り役として、各地域で設立や、設立に向けた検討が進められているものです。
今、申し上げました課題認識は、港区の観光施策の現状に当てはまる部分もありますし、観光にかかわるさまざまな関係者間の合意形成、地域ブランド力の向上、地域の魅力発信やプロモーション展開といったDMOの役割は、港区観光協会の今後の活動のあり方においても非常に参考になるものです。
現在、港区観光協会において、協会活動の活性化と自主・自立に向けた取り組みが議論されており、こうしたDMOに、協会としてあるべき将来の姿を重ね、みずから名乗りを上げることも視野に入れた検討も必要だと考えております。港区観光協会との間で、DMOに関する情報と課題を共有してまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君) ありがとうございます。ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
一方、既に東京都の認定を受け、MICE誘致を中心に活動している、先ほど申し上げましたDMO六本木や、お台場版DMOである一般社団法人東京臨海副都心まちづくり協議会とも連携を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君) 東京都は、国際会議や大規模展示会などを中心とするビジネストラベル、いわゆるMICEを受け入れる施設が集積するエリアにおいて、受け入れ環境整備の核となる団体等を東京ビジネスイベンツ先進エリアとして認定し、支援する取り組みを進めております。
港区の区域では、ご紹介いただきましたDMO六本木と臨海副都心まちづくり協議会の2団体が認定を受けております。DMO六本木に関しましては、六本木、麻布十番といった地域の商店街と連携し、MICE誘致に向けた活動を展開しており、既に区及び港区観光協会と情報交換を重ねております。
今後、臨海副都心まちづくり協議会も含め、国内外に港区の魅力を発信するシティプロモーションや商店街への回遊性向上などの分野で、DMOとの連携を強化してまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君) ありがとうございます。私が前回の第4回定例会で、一般質問させていただいております、スポーツツーリズムの推進という部分においては、武井区長からも、スポーツの力を今後の観光施策に積極的に取り入れてまいりますとのご答弁をいただいております。4月から始まる第3次港区観光振興ビジョンの策定にあたり、スポーツツーリズムという観点を踏まえて、港区版DMOが主体的な役割を果たすことを期待し、次の質問に移ります。
観光ボランティアについての質問です。
観光ボランティアに関しては、年間40回以上のまち歩きツアーを開催し、活躍の場が拡大してきている中で、港区観光協会と連携した事務局機能の整備が必要ではないかと、我が会派として何度か提案してきましたし、私も昨年の決算特別委員会で提案させていただきました。
来年度予算では、観光ボランティア事業が大きくレベルアップされ、4月からは港区観光協会に事務局機能を置き、観光ボランティアの活動をしっかりと支えていく体制が整備されるとのことで、大変うれしく思っております。ユニフォームやフラッグなどによるボランティア活動の見える化にも取り組んでいただけるとのことで、今後、活動がますます発展していくことを期待しております。
観光ボランティアに関してお聞きしたいのは、まず、国際観光ボランティアの育成についてです。港区基本計画においても、また、港区観光振興ビジョンにおいても、観光施策の目玉事業として、3年間の育成計画が位置づけられております。今年度は、昨年6月から国際観光ボランティア育成講座が開始され、12月に修了式が行われました。29名の方が修了したと聞いております。
現在の活動状況と今後の活動の見通しをお伺いするとともに、訪日外国人観光客のさらなる増加を見据えて、英語以外の言語にも育成対象を拡大していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君) 昨年12月に、今年度の育成講座を修了した国際観光ボランティアの皆さんには、早速先月11日に、ワールドフェスティバル連動企画として実施した外国人向けのツアーでデビューしていただき、20名を超える参加者に六本木や麻布十番、増上寺、旧芝離宮恩賜庭園などをご案内していただきました。
参加者の感想も非常に好評でありまして、3月11日から放映するケーブルテレビの番組では、その模様をごらんいただけます。今後もこうしたツアーを国際観光ボランティアの皆さんとともに企画してまいります。
また、観光ボランティアの皆さんには、現在ホテルに宿泊する外国人観光客向けのツアーを検討していただいており、来月4月にはホテルオークラと芝パークホテルの2つのホテルと連携した桜のお花見ツアーを試行的に実施いたします。このホテルを拠点としたツアーを来年度から観光ボランティアガイド事業の事務局を担う、港区観光協会の看板事業に育てていきたいと考えております。
今年度に引き続きまして、来年度も実施する国際観光ボランティア育成講座につきましては、英語に加え、中国語、ハングルに対象言語を広げて実施してまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君) ありがとうございます。次に、観光ボランティアを活用したバリアフリー観光の推進について伺います。
決算特別委員会で取り上げさせていただいたバリアフリー観光に関する予算が初めて計上されたことを高く評価させていただきます。この分野は、2020年の東京パラリンピック競技大会開催を見据えると、必ず必要になってくる重要な取り組みであり、都心自治体の先陣を切って、こうした取り組みを進めようとする意欲をおたたえしたいと思っております。
バリアフリー観光の推進、来年度は車椅子利用者を想定した観光ルートを作成する予定と聞いておりますが、せっかくのルートですので、つくって冊子にするだけでなく、観光ボランティアを巻き込んで、車椅子利用者を対象としたツアーなどの事業展開をしてみてはいかがでしょうか。
また、高齢者や肢体不自由者にとどまらず、聴覚障害者などへの対応も視野に入れ、バリアフリー観光や観光ボランティアの取り組みを進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君) 来年度予算案では、バリアフリー観光の推進を掲げ、第1弾として、港区に多数ある魅力的な観光施設やその周辺、それらを結ぶ動線のバリアフリーの状況を調査し、お勧めの観光ルートとして作成、紹介をする予定です。
ご指摘のように、バリアフリー観光、ユニバーサルツーリズムはそれだけにとどまるものではありません。観光ボランティアの皆さんには、今年度のスキルアップ講座で、ユニバーサルツーリズムや障害者差別解消法について学んでいただきました。今後は、ボランティアの皆さんと話し合いながら、実践段階に入っていく必要があります。
車椅子利用者を対象としたまち歩きツアーの実施、また、手話通訳やタブレットを用いて観光案内を行うボランティアガイドの育成などについても、バリアフリー観光推進事業の第2弾、第3弾として、今後検討してまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君) ありがとうございます。2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、今から進めないと、経験を重ねていかないと、4年後、5年後に整備できない内容だと思います。計画的な推進を期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
▼上記質問の動画は「港区議会インターネット録画配信システム」で下記URLでご覧いただけます↓
http://www.minato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=speaker_result&speaker_id=133
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