平成29年度予算特別委員会「総務費」質問&答弁(議事録)

◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いいたします。最初に、国家戦略特区制度を活用した港区らしい取り組みの可能性についてお伺いいたします。最初に、特区制度の活用状況についてです。現在、区において3種類の特区制度が対象となっております。平成25年からスタートした国家戦略特区、平成23年からのアジアヘッドクォーター特区、平成14年からの構造改革特区であります。特に国家戦略特区は、安倍政権が推進するアベノミクスを象徴する経済効果の高い規制改革提案をスピーディーに実現する制度で、国や地方自治体、民間企業が1つになってあるプロジェクトに取り組み、思い切ったことや前例がないことを前に進めていくためにつくられた制度です。
質問は、まず、国家戦略特区における港区内の民間も含めた現在までに提案した申請はどのようなものがあるのでしょうか、また、現在特区として認定されている事業の状況についてお聞きいたします。

◯企画課長・区役所改革担当課長兼務(野上 宏君)  港区内におきましては、民間企業等が国家戦略特区の都市再生特別措置法の特例や、都市計画法の特例の活用を申請いたしまして、現在、品川駅周辺や虎ノ門周辺など、8つのまちづくりの事業が認定を受けております。このほか、東京都全域を対象としたものといたしまして、東京都が申請した外国人家事支援人材の受け入れに係る出入国管理及び難民認定法の特例などが認定されております。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。次に、港区らしい特区制度の取り組みについて伺います。先ほどのご答弁のとおり、国家戦略特区制度は、東京圏において75事業、東京都では61事業が認定され、港区においては、都市再生特別措置法の特例、都市計画法の特例の2規制改革事項8事業の取り組みが進められております。これらの目的は再開発がメインだと思いますが、日本全国で行われている特徴ある特区活用の事例としてロボット特区や自動運転特区、シニアハローワーク、マルシェ、オープンカフェ、ドローンなど、幅広い分野で特区申請が行われているものの、我が港区の実績は非常に寂しいと思います。予算特別委員会や決算特別委員会等で規制緩和を推進するすばらしい提言やアイデアが議論されている中で、我々も日本の真ん中にいる地方自治体として、港区らしい特区活用を推進していくべきだと考えますが、港区らしい特区制度を活用する取り組みの可能性についてお伺いいたします。

◯企画課長・区役所改革担当課長兼務(野上 宏君)  区は、豊かな国際性を生かし、実践的な英語能力と、国際人としての資質を育成することを目指しまして、平成17年に構造改革特区を活用した国際人育成を目指す教育特区の認定を受けるなど、これまでも特区制度の活用も区政運営における選択肢の1つとして、地域特性を踏まえた施策を立案してまいりました。現在、区として初めて国家戦略特区を活用した認可保育園の設置に向けて、取り組んでいます。今後も特区制度の活用も視野に入れながら、港区ならではの質の高い行政サービスの実現に向けまして取り組んでまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。これは民間からも直接申請できる制度ということもあって、区で募集をしてという話にはなりにくいのですが、常日ごろから問題を抱えている地域等の問題・課題解決に向けた1つのツールとして、この特区制度がもっと生きてくればいいなと思いますので、引き続き、全庁横断的にこの特区の活用を視野に入れて行政運営をしていただきたいと思います。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた、オリンピック・パラリンピック基金の創設について伺います。まず、東京2020大会に向けた専管組織の設置についてです。東京2020大会の気運醸成や、大会を契機としたまちづくりの効果的な推進に向けて、全庁横断的な調整を図ることを目的として、この4月1日付で、企画経営部内にオリンピック・パラリンピック推進担当を設置されることになっております。
質問は、オリンピック・パラリンピック推進担当課の具体的な組織目標と体制についてお聞きするとともに、大会の気運醸成や、大会を契機としたまちづくりの効果的な推進とありますが、その具体的な施策があればご披露いただきたいと思います。

◯企画課長・区役所改革担当課長兼務(野上 宏君)  本年4月に新設いたしますオリンピック・パラリンピック推進担当の組織目標としましては、スポーツ振興や文化振興をはじめ、バリアフリーのまちづくり、観光振興など、東京2020大会に向けた幅広い分野の施策を有機的に結びつけ、区民とともに、全庁一丸となって、気運醸成及びレガシーの創出に向けた取り組みを総合的に調整し、それぞれの取り組みを強力に推進することを考えております。新たに設置する担当は、課長級職員1名、係長職員1名の2名で、他の関連部署と連携し、分野横断的に全庁挙げて東京2020大会を契機としたまちづくりの推進に取り組む体制となってございます。具体的な施策といたしましては、東京2020応援プログラムに対します助成事業、(仮称)区民マラソン大会の実現に向けた取り組み、区内大学・企業との連携事業の検討、区内全域での気運醸成事業を実施するとともに、区の取り組みをわかりやすく広く区民に周知するなど、区民とともに、東京2020大会の気運醸成及びレガシーの創出に向けたあらゆる施策を推進してまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。2020年に向けて大きな一歩を区は踏み出すと考えております。大きな具体的な施策という意味では、マラソンとか企業連携、気運醸成というお話がありましたが、日ごろお仕事を抱えている総合支所であったり、その他部署の方々と、この件に関して、夢や希望を持って話をする時間が、営業時間内というか勤務時間内ではとりにくいのではないかと思います。まちの人たちも含めて、もうあっと言う間にあと3年、ラグビーワールドカップもあと2年という状況の中で、何をしてくれるのかなと、気運醸成ってどういうことがあるのかなという話が多分多く出ていると思います。そんなことをリードするような組織に、ぜひなっていただきたいと思いますので、私からもエールを送ります。
次に、レガシー創出を促す資金的なバックアップ施策について伺います。区が行っている東京2020大会に向けた気運醸成の取り組みについては承知しました。一方、民間や地域が自主的に東京2020大会レガシーを創出するイベントが今後さまざまなところで実施されると思われます。来年度予算案でも、(仮称)東京2020応援プログラム推進助成として、レベルアップ事業として支援する取り組みもありますが、民間や地域で行う大会レガシー創出に向けたイベント等を開催する場合、人手不足や資金力不足は否めず、独自でイベントを開催したくても、大規模になればなるほど踏み出せないケースが多いと想像します。
質問は、助成金という形ではなく、先ほど歳入でも多くの議員が触れられたふるさと納税やクラウドファンディング的な寄附を受け付け、東京2020大会のレガシー創出のイベント開催を資金的にバックアップする施策として、オリンピック・パラリンピック基金を創設し、参画と協働の場づくりを後押しすべきだと考えますが、その可能性についてお聞きいたします。

◯企画課長・区役所改革担当課長兼務(野上 宏君)  東京2020大会のレガシーを創出するという目的に賛同していただき、そのお気持ちを寄附という形でお示しいただくことは、参画と協働において大変意義のあるものと考えております。黒崎委員ご提案の東京2020大会のレガシー創出を推進するための寄附金、オリンピック・パラリンピック基金創設の可能性につきましては、現在進めております寄附の検討の中で調査・研究してまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。よろしくお願いします。ちなみに、2002年FIFAワールドカップ決勝戦が開催された横浜国際総合競技場がある横浜市では、ワールドカップ横浜開催推進委員会の残余金及び2002年FIFAワールドカップ日本組織委員会からの返還金をもとに、ワールドカップサッカー大会決勝戦開催記念基金というものを横浜市スポーツ振興事業団に設置し、ワールドカップ開催記念事業やスポーツ振興に活用している事例がございます。これは、大会後の余剰資金の活用事例でありますが、区では、2019年のラグビーワールドカップ日本大会に向けて、日本ラグビー界の聖地、秩父宮ラグビー場を擁しております。スポーツによる地域振興が実現する取り組みを区がリードして、2019年以降も区が一体となる有形無形のレガシーと、それを支援する枠組みも含めて、創出いただきたいと要望申し上げます。
次に、各種式典やイベントにおけるリアルタイム情報発信について伺います。まず、現在の情報発信基準についてです。区では、さまざまな情報を各種媒体により発信しています。その中には、フェイスブックやツイッターもあります。フェイスブックやツイッターの特性として、手軽にリアルタイムな情報発信が行える利便性や、知りたい情報をフォローすれば手軽に入手できる点が挙げられます。
質問は、区が現在行っているフェイスブックやツイッターの種類についてお伺いします。また、区長室が行っているフェイスブック、みなとトピックスの発信頻度や発信基準等についてもあわせてお聞きいたします。

◯区長室長(新宮弘章君)  区では、区長室が行っている区政全般の情報発信を目的としたフェイスブック、みなとトピックスのほか、災害時等の情報発信を目的とした港区災害・緊急情報フェイスブック及びツイッター、地域情報の発信を目的としました赤坂親善大使のフェイスブック、選挙啓発を目的としました選挙いっ得?!プロジェクトのフェイスブック及びツイッターがございます。区長室のみなとトピックスの発信頻度でございますけれども、おおむね1カ月に12件~15件程度発信してございます。また、情報の発信基準についてですけれども、区主催のイベントや行政サービス等の情報、区長記者発表やプレスリリースの情報を中心に発信すると定めてございます。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。今のお話を聞いて、文章の構成だとか、どの情報を取り上げるかも含めて、大きな障壁というか課題がある中で、フェイスブックやツイッターの特性がどこまで生かし切れているかなということは疑問を持ちました。何でもかんでも発信すればいいというものでもありませんし、逆に誰かまめな人が発信して、次に担当が変わったらそれを踏襲できるのかとか、いろいろなことがあります。なるべくリアルタイム、そして、効果的な情報を望んでいる区民の方々は、それぞれフォローしている中で、深い情報を知りたいと思っております。今後このフェイスブックやツイッターの掲載媒体・範囲も含めて、前向きにぜひ検討していただきたいと思います。
次に、区民まつりでの情報発信についてお伺いします。今は区としてのお取り組みだと思いますが、ご存じのとおり、区民まつりは財団の取り組みでもありますので、少し観点が違うかと思いますが、よろしくお願いします。10月の3連休で行われる港区最大のおまつりであるみなと区民まつりは、広範囲な会場で同時並行的にさまざまな催しが各エリアで行われ、その魅力で毎年20万人以上が集まる、都内でも大規模なイベントであります。また、パレードや各ステージ上のプログラム、時間限定や個数限定の商品販売などは、長年区民まつりに通い、一番効率的なめぐり方を研究され、もはや達人と呼ばれる領域の人から指南を受ければ、初めて参加した方も効率的に楽しめるイベントだと思います。
一方、区民まつりのパレード開催状況や、エリアごとのタイムリーなトピック、ステージプログラム、商品販売開始や終了情報等を、先ほどから申し上げているフェイスブックやツイッターを使用して、もっと積極的に発信すべきではないかと考えますが、その可能性についてお聞きいたします。

◯地域振興課長(高嶋慶一君)  みなと区民まつりでは、例えば、昨年の開催中にございました大雨のような際には、パレードの開始時間の変更や参加団体の変更などを広くお知らせするため、公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団が運用してございますフェイスブックに変更内容を掲載するなど、パレードやステージのスケジュールのおくれなど、大きな動きについては対応は可能でございますが、現状、きめ細かくは実施できておりません。みなと区民まつりでのエリアごとのタイムリーなトピック、ステージプログラム、商品の販売開始などの出店団体ごとの詳細な情報に関して、より一層迅速に情報発信をするために、今後、公益財団港区スポーツふれあい文化健康財団と協議してまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  今回質問した背景としては、パレードが小規模で30分か1時間おくれますよという情報を私自身のフェイスブックに載せたところ、来場者の方から、そういうことを総合的に発信しているところはないのですかという書き込みがありました。それ以降、検索でみなと区民まつりと調べると、いろいろな方がそれぞれ議員も含めてアップされているのですけれども、やはりどれが正しい情報化も含めて、わかりにくい状況になっていると思います。民間のお祭りとかイベントでは、ハッシュタグみたいな格好で、みんなでそれを上げる、相乗効果をねらったようなソーシャルネットワークの使い方もありますので、ぜひ、簡単な話だと思いますので、ご検討いただければと思います。
先ほど事例で出しました、区民まつり達人講座みたいなものを、今回以降検討いただければ、それはそれでまたおもしろいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、働き方改革に向けたICT活用の推進状況について伺います。まず、テレビ会議システム導入による期待効果についてです。先週金曜日、初めてのプレミアムフライデーがスタートしました。停滞する消費を盛り上げようと、月末の金曜日に早めに退社を促すキャンペーンが、消費の底上げや働き方改革につながるかどうか注目されています。現在、安倍政権が推進している働き方改革とも連動し、相乗効果が出ることを期待しています。
一方、このようなキャンペーンとは別に、今でも恒常的に取り組まれている区役所業務改革である、ICTによる業務効率化の推進は、今回の働き方改革とあわせて引き続き追求していくテーマであると認識しています。来年度予算案でも、職員の働き方を改革し、より区民に身近な区政運営を推進するテレビ会議システムを新たに導入するとなっています。
質問は、今回のテレビ会議システムを導入することで、どのような働き方改革となり、その効果を期待しているのか、教えていただきたいと思います。お願いいたします。

◯情報政策課長(若杉健次君)  テレビ会議システムを導入することによりまして、各地区総合支所やみなと保健所、本庁舎といった離れた拠点の間や、例えばですが、公園や道路で維持保全にあたる職員が現場から映像や音声により会議や打ち合わせをすることが可能となります。現在、職員が会議や打ち合わせをする場合には、移動して会議室等に集まって行う必要がありますが、職員の移動時間を削減することで、その時間をほかの事務に充て、時間を有効に使う働き方を実現するとともに、離れた場所であっても必要なときに迅速に打ち合わせができ、リアルタイムで情報共有が可能となることで区民サービスの向上に結びつく効果が期待できると考えております。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。予算額からしても、全部の会議室にそのシステムを導入されるわけではないと思います。まずは試験的にといったところだと思うのですが、ICTを使っていけば、いろいろな課題解決ができると思います。そこら辺も含めて、次の質問とあわせてお答えいただければと思います。
最後に、今後の取り組みと展開についてお伺いします。ICTというレベルではないアナログの話なのですが、内線電話で行政の方々にお電話すると、意外と通話中のことが多いです。そのような場合、ツーツーと話し中の信号音が流れますが、携帯電話同士の操作になれ過ぎてしまっているために、すぐにリダイヤルするものの、まだ通話中、これを何回か繰り返してもつながらないと時間を置いてとなるのですが、時間があくと、これは私だけかもしれませんが、忘れるケースが非常に多いのです。固定電話の場合、携帯電話と違って着信ありという感覚がないため、折り返しお電話をいただくには近くにいるどなたかに折り返しお電話をいただきたい旨を依頼し、メモ等を残してもらう以外はありません。せめて通話中は近くの電話に転送してほしいというのが要望です。このようなケースも、ICTを活用すれば、ボイスメールやチャット機能などで解決できると思います。
また、昨年度から、希望する管理職の方のスマートフォン等でメールを閲覧できる環境整備も進んでいると聞いております。いつでもどこでも仕事ができる環境が整うことは大変な業務効率向上につながるものの、働き方改革という意味では、ワークライフバランス推進をあわせて進めていくことが肝要だと考えます。このような複雑な環境の中、ICTによる課題解決ができることを期待しておりますが、今後の取り組みと展開についてお話をお聞きいたします。

◯情報政策課長(若杉健次君)  例えばですが、今回導入しますテレビ会議システムを拡張する技術といたしまして、自分の席のパソコンにカメラとマイクを設置し、相手先が在席しているか、会話が可能な状態かを確認した上で、内線電話のかわりにチャットや映像、音声でコミュニケーションができるシステムなども開発されています。今後も情報収集を進め、最新のICTの活用により、さらなる庁内コミュニケーションや事務の効率化を進めてまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いします。ただ、行政棟が効率的になっても、議会棟とのIT格差みたいなものも出てくると思いますので、そこら辺も含めて、オール港で体制構築、取り組み推進をしていただければと思います。
以上です。

▼上記質問の動画は「港区議会インターネット録画配信システム」で下記URLでご覧いただけます↓
http://www.minato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=speaker_result&speaker_id=133

目次