平成28年度決算特別委員会「民生費」質問&答弁(議事録)

◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いします。
(仮称)港区子ども家庭総合支援センターのコンセプトについて伺います。最初に、現在の状況と区に寄せられた情報についてです。昨年5月の児童福祉法等の一部改正を受け、区は児童虐待等の予防機能の強化を目指し、児童相談所の相談機能と、妊娠期から子育て期、思春期、自立までの子どもと家庭の状況に合わせた支援機能を一体化させ、ワンストップできめ細かい支援を行うための施設、(仮称)港区子ども家庭総合支援センターを、南青山五丁目に平成33年4月に開設すると発表しました。同センターにおいては、子育て講座や子育て家庭向けイベント、家庭問題への支援、ひとり親支援、ひきこもり対策など、多様な相談支援を展開するとしています。現在は施設整備計画の策定中で、その後に基本計画・実施設計を開始し、平成31年8月から建設工事を開始するとしています。
質問は、本施設開設に向けた現在の状況についてお伺いいたします。また、要望や期待なども含めた、現在、区に寄せられている情報があれば、お伺いしたいと思います。

◯児童相談所設置準備担当課長(保志幸子君)  現在、施設整備計画の策定に向けて検討を進めております。地域の環境や周辺の道路状況、計画地の条件、施設の機能などを確認しながら、建物配置を検討するとともに、整備する予定の児童相談所と子ども家庭支援センターなどの施設について、児童の権利擁護や利用者の安全に配慮した機能と設備、諸室等の確認を行っております。また、特別区においては、一時保護所の相互利用や社会的擁護、人材育成策について、各区の共通課題として検討を行っております。
この間、区に寄せられたご期待のメッセージを紹介いたします。青山地域にかつてあった、こどもの城が懐かしく、ぜひ子どもとともに楽しめる場を設けてほしい。自分が育ったころのような落ち着いた静かな環境をつくってほしい。子どもの新たな文化発信基地であってほしい。児童相談所は本来、養育が困難なときに子どもも親も守り、支援してくれる施設であることをアピールしてほしいなどです。

◯委員(黒崎ゆういち君)  (仮称)港区子ども家庭総合支援センターの開設発表を受けて、青山地域に子どもの施設ができるということは、ほかの区に対しても、ほかの地域に対しても、非常にインパクトになっていると思います。次の質問に入っていきますけれども、いろいろな要素をたくさん取り入れる中で、しっかりとしたコンセプトで、ややもすれば本来の機能が失われるということのないように、一方で広く意見を聞いていただきながら、可能な限り理想を追求していただきたいと思います。
最後にコンセプトについてです。本施設は南青山五丁目という、表参道駅にほど近い立地にあります。近隣にはブランドショップや各ジャンルのレストラン、美術館、中低層のマンション等も建ち並び、港区屈指のおしゃれなまちとして全国的に有名なエリアです。さまざまな子育て支援機能を備えた複合施設ではありますが、青山地域という立地が持つブランドやまち並みと調和することで、さらなる機能を呼び込み、新たな付加価値が生み出されることが期待できます。
本年1月に、保健福祉常任委員会の行政視察において、石川県金沢市の児童相談所と一時保護施設等がある子ども総合相談センターを訪問しました。児童相談所は、行政施設や教育施設を改築・改修して開設されているというようなケースがほとんどだそうです。今回の港区のように、新築で、なおかつ大規模な児童相談所の開設というものは、多分、類を見ないものになっていると思います。そのような中で、各児童相談所が培った経験や見地、具体的にはマジックミラーとか音が聞こえないようにするとか、警察官の人たちが隣の部屋で聞けるような広い部屋があり事情聴取一回で、全ての機能を持った行政の方々も聞くようなことができるなど、見地というか経験を生かして設計等をしてほしいと思います。
質問は、(仮称)港区子ども家庭総合支援センターが、全国の児童相談所における見地を生かしつつ、青山地域との立地と調和し、新たなまちの拠点となり得るコンセプトを持つ施設として整備すべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

◯児童相談所設置準備担当課長(保志幸子君)  (仮称)港区子ども家庭総合支援センターは、全ての子どもと家庭に寄り沿い、さまざまな相談支援を切れ目なく行うための総合支援拠点です。児童相談所の設置にあたり、区は、子育て家庭が楽しく交流できるイベントなど、全ての児童のための支援から、育児不安や家庭の問題に悩んだときの相談、児童相談所の医師や児童福祉司、児童心理司などによる専門相談まで、全てを切れ目なく行うため複合施設として整備することを決定いたしました。子育て中は、取り巻く環境の変化により、喜びや楽しさと不安、心配、いろいろな問題がまざり合って訪れるものです。どのような状況にあっても、それぞれの子どもと家庭にふさわしい支援を丁寧に提供していくことを目指しています。
所管課では、これまで、石川県金沢市、神奈川県横須賀市、福岡県福岡市、熊本県熊本市、神奈川県横浜市の児童相談所を視察いたしました。それぞれの自治体がその地にふさわしい児童相談行政をつくり上げ、その歴史の積み重ねと経験、専門対応の実際などから学ぶものが非常に多くありました。青山地域は、大通り沿いはファッションブランドや個性的なギャラリー、レストランなどが数多く立地していますが、本計画地はこの大通りを抜け、少し入ったエリアで、住宅が混在し、親子が安全に安心して訪れ、落ち着いて相談支援を利用できる環境です。都心港区において、豊富な子育て支援策を持つ港区の強みを生かしながら、青山地域の環境や雰囲気に調和した施設の整備に取り組んでまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。これから実施設計・基本設計に入っていくと思いますけれども、石川県金沢市を訪れた際に、子ども総合相談センターの所長の「私たちの後ろにはもう何もないのだ、誰もいないのだ。だから自分たちが、どんなことがあっても受けとめなければいけない。そのような覚悟を持って、24時間365日、仕事をしています。」という発言が非常に心に残っております。当然、そのような機能になるのですが、そこには区の職員の方々だけではなくて、我々も含めて地域の方、子どもがいない方、既に子どもを育てられた方も含めて、皆さんで子どもを育てていけるような施設になっていただきたいですし、それが日本一の児童相談所を持つ港区という言葉に変わっていくと思います。大変だと思いますが、よろしくお願いします。
以上です。

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