平成29年第4回定例会「一般質問」質問&答弁(議事録)

【質問内容】

◯7番(黒崎ゆういち君) 平成29年第4回港区議会定例会にあたり、自民党議員団の一人として、武井区長、青木教育長に質問させていただきます。
今回の質問では2テーマ、13項目をお聞きいたします。
最初に、港区基本計画・実施計画(素案)について伺います。
まず、前期3年の政策評価及び成果についてです。港区基本計画・実施計画は、平成14年12月に制定された港区基本構想に掲げる港区の将来像、やすらぎある世界都心・MINATOの実現に向け、長期的展望に立って、区が取り組むべき目標や課題、施策の概要を体系的に明らかにするとともに、年次的な事業計画によって、基本構想実現のための具体的な道筋を示すことを目的に策定されています。
そして、本計画は区政全般を対象とする総合的な計画であり、各事業分野における行政計画や具体的事業計画の策定、各年度の予算編成、これらに基づく事業執行等、区政のあらゆる分野で計画的に行財政運営を推進する際の指針となる最上位計画でもあります。
計画の期間は、平成27年度を初年度とする平成32年度までの6カ年計画で、計画期間を平成27年度から平成29年度までの前期3年間と、平成30年度から平成32年度までの後期3年間に区分し、今般、前期3年目である本年度に見直しを行い、港区基本計画・実施計画(素案)が策定されました。現在、港区議会各常任委員会において本素案についての審議をまさに行っている最中であります。後期3年の策定にあたっては、さまざまな視点において、港区基本計画・実施計画の総括を行った上で策定をされていると思いますが、まず、前期3年の政策評価及び成果について、どのような結果になっているのでしょうか。また、執行機関の責任者である区長はこの結果をどのように捉えられているのでしょうか。区長にお伺いいたします。
次に、後期3年の計画を策定する上での前提や背景についての質問です。先ほど述べた前期3年の政策評価及び成果を検証・総括する中で、3年前に策定した前提や背景と、今回の前提や背景とは、当然ながらその状況が違うケースも多々発生していると思います。今回、後期3年をより実効性が高い計画にしていくにあたり、大きく変化した状況や、方向性を踏まえた前提条件や背景の修正を行っていることと思いますが、どのような点が修正となったのでしょうか。区長にお伺いいたします。
次に、政策評価及び成果を実感できる計画・実行体制についての質問です。冒頭にお伺いした前期3年の政策評価及び成果の検証・総括の中で、後期3年の実効性がより確実に実感できるように目標を定量的及び定性的に設定し、その目標に向かって区政にかかわる誰もがPDCAサイクルを回して、政策評価及び成果を実感できる計画・実行体制を構築していくことが、港区基本構想を実現するための鍵であると考えますが、区長のお考えをお聞きいたします。
次に、地域共生社会の実現に向けた基盤づくりについての質問です。今回の港区基本計画・実施計画におけるメインテーマは、地域共生社会の実現である旨、平成29年第2回港区議会定例会の一般質問において、後期3年の見直し方針について、区長から答弁をいただきました。本素案においても、全ての施策の横串を刺すテーマとして、地域共生社会の実現が掲げられている内容になっていますが、これらを実現していくために必要な基盤はどのようにつくられ、どのようにして施策に反映させていくのでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。
次に、分野別基本政策を横断する重点課題の推進体制についての質問です。先ほどの質問でも述べたとおり、組織的な施策を推進する分野別基本政策と本素案にある6つの重点課題を実現するには、全庁的な連携はもとより、実現に向けて、あるべき姿を施策ごとに描く強いリーダーシップが必要だと思います。分野別基本政策を横断する重点課題の推進体制について、区長はどのように考えられているのか、ご見解をお聞きいたします。
次に、震災復興基金の積み立てに向けた財政計画についての質問です。平成28年第4回港区議会定例会の一般質問において、自然災害による財政需要への備えとして1000億円の積み立てを行い、初年度の平成29年度末には財政調整基金からの組みかえなどにより、目標額の半分の500億円を積み立て、その後は毎年100億円程度を拠出し、平成32年度までに1000億円を基金へ拠出する方策を質問し、区長は、「歳入においては、税収の確保はもとより、財産の貸し付けなどによる戦略的な収入の確保、国・東京都の補助金の活用など、財源の積極的な確保に努めます。また、歳出においては、スクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底し、施設整備に際しての投資的経費の抑制や人件費などの経常的経費の節減に努め、不断の内部努力を徹底し、財源を捻出するなど、これまで以上に簡素で効率的な区政運営に努めてまいります。」と答弁されました。見直し後の財政計画は、3786億円から4169億円と383億円の増額になっています。震災復興基金への積み立ても含め、どのように財源を配分し、どのような工夫のもと、港区基本計画後期3年の素案に至ったのか、区長のご見解をお聞きいたします。
次に、事業計画化事業、ボックス事業の決定プロセスについての質問です。今回の基本計画では、3分野、6基本政策、27政策の体系ごとにそれぞれの施策が策定され、事業計画化事業、いわゆるボックス事業として81事業が3年間で計画的に推進されるよう、区議会に対しても、財政支出の確保を担保する意味合いが含まれているものと理解をしております。したがって、執行機関の責任者である区長の思いが詰まっている、まさに区長がこれからの3年間でやり遂げたい内容だと思います。今回の計画にあるボックス事業は、どのようなプロセスを経て事業化して推進されることが決定したのでしょうか、区長にお伺いいたします。
次に、計画期間中に新たに生じる事業についての質問です。先ほどより申し上げているとおり、港区基本計画・実施計画は、区政のあらゆる分野で計画的に行財政運営を推進する際の指針となる最上位計画でありますので、区が総力を挙げて3年間で確実に実現する事業が計上されています。港区基本構想に掲げる港区の将来像、やすらぎある世界都心・MINATOの実現に向け、みんなが一丸となって港区を前へ進めていくには、より多くの皆さんの要望や意見を組み込んだ積極的な事業展開が必要です。
一方、平成32年度までの計画期間中において、本来ボックス事業や計画計上事業として進めていくべき事業が新たに生じる場合があると思います。そのような場合の対応は、どのようなプロセスを経て、年度予算に計画計上事業として組み込まれていくのかを明らかにする必要があると思います。
また、そのような計画期間中に生じた新たな事業についても基本計画同様、適切に評価をしていくべきです。新たに生じた事業の取り扱いについて、港区基本計画に掲載すべきだと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
また、ボックス事業や計画計上事業には記載されていない、すなわち港区基本計画には載っていない、現在とり行われている事務事業等の計画や目標に対する取り扱いについては、どのような扱いになるのでしょうか。あわせてお伺いいたします。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーが地域に残るまちづくりについて伺います。
初めに、平成28年度決算特別委員会総務費の質疑において、ラグビーワールドカップ2019日本大会開催に向けて、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会と連動して取り組むべき事例として紹介した両大会の特別仕様ナンバープレートが、区長車及び副区長車、議長車の3台で交換され、区長車及び副区長車は東京2020大会特別仕様ナンバープレートに、そして議長車はラグビーワールドカップ2019日本大会特別仕様ナンバープレートに本日交換されました。早速ご対応いただきありがとうございました。引き続き、全ての庁有車にも広がっていくことを期待して質問を続けます。
まず、お台場のレガシー創出に向けた取り組みについてです。平成29年第2回港区議会定例会の一般質問において、いかにしてラグビーワールドカップ2019日本大会及び東京2020大会のレガシーを残していくかの質問に対し、区長は、レガシー創出の1つとして、「泳げる海、お台場」の実現に向けて取り組んでいくと答弁されました。トライアスロンの競技会場となるお台場を泳げる海にするという区長の明確な目標は、東京2020大会との高い親和性を感じますし、大会レガシーとして、ぜひとも実現させたいと私も強く思っております。課題となっている水質などの諸問題については、東京都等とスクラムを組み、効果的に取り組んでいただきたいと思います。
一方、東京2020大会の開催まで1000日を切り、区が先日、覚書を交わしたイギリスオリンピック委員会との連携も本格化してくる中で、大会の成功に向けた気運醸成の重要性は言うまでもありません。具体的な準備段階に差しかかるという意味では、トライアスロンの会場となるお台場海浜公園には仮設の施設が整備され、公道をバイクやランで選手が使用することにより、大規模な交通規制が行われることが想定されます。
施設の整備段階から地域住民や在勤者に影響が出てくることへの懸念は、今後、整備計画やコースなどが公式発表されることにより、課題が浮き彫りになってくることを予見しておかなければなりません。トライアスロンのようにまち全体を会場とする競技は、柔道やレスリングのような1つの施設内で行う競技以上に、地域住民や近隣企業からの理解・協力が必要になります。東京2020大会がお台場にやってくるという漠然とした期待感だけでなく、トライアスロンや水泳マラソンをお台場全体で盛り上げるというマインドに醸成していくことで、地域からの理解・協力・連携の力が育まれると考えます。東京2020大会後に、お台場で日本選手権や国際大会が毎年開催されるような、トライアスロンの聖地として、後世にまで名をはせるような無形のレガシーを地域に残し、未来へ引き継いでいくことこそ、競技開催地・港区が追求していかなければいけないことだと思います。
東京2020大会を成功に導くためには、日本トライアスロン連合会などの競技団体と台場地域に住む人や働く人たちが良好な関係を築くことが大切です。そして、その橋渡し役を港区が担わなければなりません。ハード面での「泳げる海、お台場」の実現に向けて、さらなる努力を重ねていただきたいと強く要望することとあわせて、ソフト面のレガシーとしての競技団体と地域との融和をどう進めていくべきか、区長のお考えをお伺いいたします。
また、それらの融和を象徴する事業になるであろう、イギリスオリンピック委員会との連携により実現する港区小中一貫校お台場学園をイギリス代表選手に提供する取り組みの内容と今後の展望について、区長、教育長のお考えをそれぞれお伺いいたします。
次に、主要駅周辺事業者による防災対策についての質問です。ラグビーワールドカップ2019日本大会及び東京2020大会に向けて、品川駅、田町駅間にJR山手線の新駅や、霞ケ関駅、神谷町駅間に東京メトロ日比谷線の新駅が開業に向けて急ピッチで工事が進められています。これらの新駅が完成すると、さらに働く人や訪れる人が増加することが予想され、100万人の昼間人口を抱える港区において、災害時のターミナル駅周辺における安定性の確保は、区民の安全に直結する喫緊の課題であります。そのような状況に対し、区は、平成23年に港区防災対策基本条例を制定し帰宅困難者対策を推進しており、現在8つの地域で駅周辺事業者や鉄道事業者等が主体となり、帰宅困難者対策を推進する組織として、駅周辺滞留者対策推進協議会を設立し、災害時に駅において、地域の被害状況の提供や一時滞在施設への誘導等を実施して、駅周辺の混乱を防止するために日々連携して訓練等を行っています。協議会が8つもあるのは港区だけとのことで、その意識の高さがうかがい知れます。
一方、災害時に帰宅困難者を一時滞在施設である事業者の建物内に自主的に受け入れた際、そこで帰宅困難者が何らかの被害に遭った場合に誰が責任を負うのかという新たな問題も発生していると聞いています。主要駅周辺事業者による防災対策の推進状況について、区長のご見解をお伺いいたします。
また、品川駅周辺の鉄道事業者が開催する訓練は、品川駅港南口駅前広場にはしご車等を乗り入れる大規模な訓練になります。道路占用許可や訓練資機材等の準備、訓練時の人員整理等、消防当局と連携して、区がさまざまな対応を弾力的かつ積極的に支援・協力を行うことで、地域全体の防災力向上につながり、安全・安心なまちづくりに直結していくと考えますが、東京2020大会に向けた品川駅周辺の防災訓練に対する今後の展望についても、区長のお考えをお聞かせください。
次に、来街者及び宿泊者に対する地域の受け入れ施策についての質問です。6月16日に公布された住宅宿泊事業法の施行日を定める政令と住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例の基準等を定める政令が閣議決定され、住宅宿泊事業法は、平成30年6月15日に施行されることになりました。港区基本計画・実施計画においても、東京2020大会に向けて過去最多となる外国人旅行者を受け入れるために、やさしい日本語を活用した情報発信やバリアフリー化などを進める一方、民泊などの新たな行政課題も生まれています、との記載がある中、特別区が民泊に関連する条例を制定することができるようになりました。一軒家と集合住宅などでは事情も異なり、条例がないままニーズに押し流されて、なし崩し的に広まるこの状況に住民からは不満の声が上がっています。来年6月の施行に向けて、区として本法律に対する条例の制定と方針を早急に決定する必要があると考えますが、民泊に対する区長の見解をお伺いいたします。
次に、新たな観光資源である橋りょうのライトアップについての質問です。港区には、東京の景観を代表するランドマークとして東京タワーやレインボーブリッジがあり、それらをライトアップすることにより魅力的な夜間景観が形成されています。一方、芝浦港南地区には、港区の特徴である運河と、そこに架かる橋りょうがあり、豊かな水辺空間が存在しています。地域住民からも、東京2020大会に向けて、水辺空間の魅力向上を期待する声が多く上がっており、平成28年度にはさらなる水辺空間の魅力向上を目指して、御楯橋及び新芝橋で橋りょうライトアップの実証実験が行われました。橋りょうのライトアップは、まち全体ににぎわいをもたらし、光を新たなまちの魅力として演出しながら、まちの魅力を世界に向けて発信していく取り組みです。さらに積極的に推進していただきたいと思います。
一方、橋りょうのライトアップには、景観形成のほかに、地域コミュニティを1層活性化させ、まちへの愛着の醸成を図る効果が期待できます。東京2020大会に向け、港区観光ボランティアと連携したまち歩きツアーや舟運ツアー、ナイトランなどのジョギングも組み合わせるなどしながら、国内外からの観光客などの来訪者を増加させるとともに、東京2020大会後のレガシーとしてライトアップを観光スポット化することにより、観光と地域産業の活性化を図り、運河沿い緑地等の水辺空間の利活用を促進させ、地域のより安全・安心なまちづくりにつながる等、さまざまな相乗効果を生み出すことが想定できます。港区基本計画にある事業計画スケジュールを前倒しして早期実現を目指していただきたいと考えますが、区長のご見解をお伺いいたします。
また、隅田川に架かる12橋を東京2020大会までにライトアップを実施すると東京都建設局が発表していますが、港区内における東京都の橋りょうも墨田区と同様に実施していただき、港区独自のライトアップと並行して進めていけるよう、東京都に働きかけていくべきだと考えますが、現在の取り組み状況についても、あわせてお聞きいたします。
最後に、今までのオリンピック・パラリンピック競技大会において顕著な功績を残された方が積極的に参加する枠組みについての質問です。港区立小学校・中学校PTA連合会の提案で、スポーツ文化活動等で活躍した児童・生徒の保護者に対し、港区名誉保護者表彰を贈る新たな試みが11月1日に開催され、われら区役所たんけん隊の閉会式において表彰式が行われました。表彰は100メートル、200メートルの短距離走で世界的に活躍しているサニブラウン・アブデル・ハキーム君の保護者と、この夏、甲子園で行われた全国高校野球大会で優勝した花咲徳栄高校の先発ピッチャーとして活躍した綱脇慧君の保護者に対して行われました。両選手ともに港区の小学校や中学校を卒業した港区が誇る偉大なる現役アスリートであります。
一方、港区では、港区在住または在学の幼稚園児、小学生、中学生が東京都大会規模以上の研究活動、スポーツ、芸術等の大会において、優勝もしくはそれに相当する優秀な成績をおさめた場合、その功績をたたえる港区教育委員会表彰という制度も既に存在しています。このように港区には顕著な功績を残された方を表彰する制度があり、地域に誇りを持つ、大変よいきっかけになると思います。
一方、港区港南在住で昨夜も新橋SL広場前のパラリンピック1000日前イベントにご参加いただき、また、今までも港区のスポーツイベントに積極的にご参加いただいているパラアスリート夫妻、高田裕士さん、1000明さんが、おとといご主人の出身地である荒川区から荒川区功労者表彰、活動賞をご夫婦でダブル受賞されました。このような表彰は、ご本人だけでなく、その家族や活動を支援する方々の力になり、顕著な功績を地域が知ることで、さらに応援する仲間が増える効果や、その活動が身近に感じられるなどさまざまな効果が期待できます。
港区独自の大会レガシーの創出に向けて、また、東京2020大会のムーブメントをさらに大きくつくり出していくためにも、今までにオリンピック・パラリンピック競技大会において顕著な功績を残された区民や区内在勤者の方々が、港区で開催される大会関連イベントやオリンピック・パラリンピック教育プログラムにおいて積極的に参加していただくための枠組みがあれば、さらに気運醸成が高まっていくと考えます。区長、教育長のご見解をそれぞれお聞きいたします。
以上で質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

【区長答弁内容】

◯区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団の黒崎ゆういち議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、港区基本計画(素案)についてのお尋ねです。
まず、前期3年計画の政策評価及び成果についてです。区は、港区基本計画の策定や見直しにあわせ、3年に一度、学識経験者、公募区民、行政で構成する港区行政評価委員会において、専門的な視点や生活者の視点を取り入れた政策評価を実施しております。今年度実施した政策評価においては、29の政策のうち26の政策において「達成」の評価をいただいており、全体的に計画は順調に進んでいるものと考えております。
一方、「達成が不十分」とされた政策については、港区基本計画後期3年において、着実に改善をしてまいります。また、現行計画は、政策ごとに施策の範囲や事業数に大きく偏りがあるとの評価委員からのご指摘を踏まえまして、政策や施策の体系を整理し、今後は新たな政策体系のもとで、適切に進行を管理し、計画を推進してまいります。
次に、計画策定の前提・背景の修正点についてのお尋ねです。港区基本計画(素案)策定の前提となります後期3年の財政収支の見通しについては、特別区民税収入の伸びや最新の経済成長予測を考慮し推計した結果、財政計画を383億円増額し、4169億円に修正しました。また、特別区に児童相談所の設置を可能とする児童福祉法の改正や、地域共生社会の実現に向けた介護保険法の改正など、新たな法律の制定や法改正の動向に的確に対応することとしております。
さらに、港区政70周年記念事業を契機とした企業や全国各地域との連携強化、東京2020大会に向けたまちづくりの推進や安全・安心の確保など、港区ならではの課題への対応を新たに設定しております。
次に、政策評価及び成果を実感できる計画・実行体制についてのお尋ねです。港区基本計画には、政策評価において政策の達成度をはかるための成果目標と活動指標を定めています。今年度実施した政策評価では、評価委員から、計画計上事業の一部のみに成果目標、活動指標が設定されていること、設定された成果目標や活動指標が政策の達成状況を適切にあらわしていない政策が一部あることから、改善が必要とのご意見をいただきました。港区基本計画後期3年の見直しにあたっては、内容を精査した上で、全ての計画計上事業に成果目標、活動指標を設定し、今後の政策評価をより効果的に実施するよう改善をしております。
次に、地域共生社会の実現に向けた基盤づくりの取り組みについてのお尋ねです。区は、地域の課題を地域で解決しながら、区内の隅々まで、あらゆる世代に対応したきめ細かな区民サービスが行き届いた、誰もが安全に安心して心豊かに暮らすことができる港区ならではの地域共生社会の実現を目指しております。そのためには、地域の担い手である町会・自治会や、事業者、大学、NPOなどの多様な主体との協働をより1層推進するとともに、地域包括ケアシステムの推進をはじめとする地域が1体となった施策を展開していくことで、地域共生社会の実現に向けた確かな基盤づくりを進めてまいります。
次に、重点課題の推進体制についてのお尋ねです。重点課題の解決に向けては、区はこれまでも課題に応じ組織横断的な推進体制を整備しており、現在、地域包括ケアシステム推進会議や東京2020オリンピック・パラリンピック推進委員会などを設置しております。専門性の高い事案や生活者の視点が必要な事案については、学識経験者や区民委員をお招きし、幅広い視点で検討を行っております。港区基本計画後期3年においても、引き続き効果的な推進体制のもとで重点課題に取り組んでまいります。あわせて各部門が個別の政策を進めるにあたっても、港区基本計画に定める重点課題の中での位置づけや役割を常に意識し、広い観点から課題を解決してまいります。
次に、震災復興基金の積み立てに向けた財政計画についてのお尋ねです。港区基本計画後期3年における財政計画では、港区ならではの質の高いサービスを積極的に展開することに留意するとともに、震災復興基金の積み立てを着実に実行することといたしました。そのため、歳入においては、国や東京都の補助金を積極的に活用すること、財産の貸し付けによる収入を確保すること、受益者負担の見直しなど精緻に積み上げます。また、税収も安定的に推移し、増収するものと見込んでおり、前期計画を上回る財源を確保しております。歳出においては、計画計上事業に財源を重点的に配分する一方、人件費等の経常的経費の節減など簡素で効率的な事務執行に努め、経費の増加を抑制しております。
次に、事業計画化事業の決定プロセスについてのお尋ねです。事業計画化事業は、港区基本計画後期3年見直し方針でお示しした地域共生社会の実現に向けた基盤づくりをはじめ、6つの重点課題の解決に寄与するものです。事業計画化事業の決定にあたっては、みなとタウンフォーラムからの提言等の区民意見を踏まえ、区を取り巻く状況の変化や、後年度の財政負担等に留意しながら、複雑化・多様化する区民ニーズに、柔軟かつ的確に対応するために必要な事業を選定いたしました。
次に、計画期間中に新たに生じる事業についてのお尋ねです。区は、これまでも子どもの急増に対応するため、港区基本計画に計上していない保育園、学校の整備や増改築などを適宜実施し、計画期間においても緊急を要する課題に迅速かつ的確に対応してまいりました。事業実施後は、政策評価又は事務事業評価により効果等の検証を行っております。また、基本計画の策定や見直しのときには、こうした新たに生じた事業のうち、計画期間に係る事業については、新たな計画に反映させております。こうした仕組みについては、予算発表などの機会を通じて、区民に対し丁寧に説明してまいります。
次に、大会のレガシーが地域に残るまちづくりについてのお尋ねです。
まず、競技団体と地域との融和の推進についてです。10月に台場で開催された日本トライアスロン選手権では、多くの地域住民に感動を与えてくれるなど、競技への親しみや理解が1層深まってきています。区は、今月19日に日本トライアスロン連合会と連携し、お台場学園でトライアスロン教室を開催するなど、選手と子どもたちが交流を深める取り組みを進めております。今後も、「泳げる海、お台場」の実現を目指すとともに、競技団体と地域との相互理解や信頼関係をレガシーとして残せるよう、積極的に取り組んでまいります。
次に、イギリスオリンピック委員会との取り組み内容と今後の展望についてのお尋ねです。本年10月、区とイギリスオリンピック委員会の間で締結した覚書に基づき、イギリスのオリンピアンが、区やお台場学園主催のイベントに積極的に参加いただけることとなっております。トップアスリートとの交流は、区民のスポーツ振興や国際交流につながる、またとない機会です。今回の取り組みによって、お台場を舞台に多くの区民が、イギリスの文化を理解し、イギリスとの親交が深まる中で、東京2020大会に向けたおもてなしの気運が醸成されるよう、今後、イギリスオリンピック委員会との連携をまちぐるみで推進してまいります。
次に、主要駅周辺事業者による防災対策についてのお尋ねです。現在、港区内のJR全4駅を含む8つの駅周辺滞留者対策推進協議会において、協議会会員事業者が災害時の情報連携のあり方や指示書のルールなどを策定するとともに、事業者の従業員による情報伝達訓練、資機材訓練などを定期的に実施しています。また、事業者向けに帰宅困難者対策における免責に関する課題について、専門の弁護士による講座を開催するなど、課題の整理と解決に向けて積極的に取り組んでいます。また、虎ノ門地区では新たに9つ目にとなる協議会の設置に向け、地下鉄新駅周辺事業者に対して帰宅困難者対策セミナーに参加していただくなど準備を進めています。
次に、品川駅周辺の防災訓練に対する今後の展望についてのお尋ねです。品川駅周辺は、東京2020大会や開発等により、首都東京の広域的な交通結節点として注目されるとともに、今後、街並みや人の流れの大きな変容が予測されます。区は、鉄道事業者等による品川駅周辺の防災訓練が円滑に行われるよう、消防署や警察署などの関係機関と連携を図るとともに、訓練に多くの人の参加を得るため、地域住民や関係団体への周知に協力してまいります。今後も、多様な主体による防災対策の取り組みを積極的に支援してまいります。
次に、民泊に関する条例制定等の方針についてのお尋ねです。住宅宿泊事業については、国際交流や観光振興の促進に資することが期待される一方、騒音等、生活環境への影響が懸念されます。住宅宿泊事業の適正な運営を確保するためには、条例の制定等、区が主体的に対応する必要があります。区は現在、条例の制定等に向けまして、関係団体や学識経験者からご意見、ご要望を伺い、住宅宿泊事業に関する区の基本的な考え方と対応方針について検討を進めております。区は、住宅宿泊事業が国際性豊かな区の特性を踏まえつつ、区民の安全・安心が確保されるよう、法施行に向け適切に対応してまいります。
次に、新たな観光資源、橋りょうのライトアップについてのお尋ねです。芝浦港南地区での水辺空間の魅力向上に向けたライトアップの整備は、デザイン設計や工事に要する期間を考慮し、来年度から整備予定の新芝橋と御楯橋など3年間で5橋実施いたします。地元町会・自治会、商店会と連携するとともに、芝浦1丁目開発事業者などと協力し、着実な実現を目指してまいります。
また、東京都で今年度策定しますライトアップ基本方針や運河エリアライトアップマスタープランの検討会に、区も委員として参加をしており、港区を重点地区とするなど、区の計画が反映された計画が進んでおります。引き続き、東京都と連携し、芝浦港南地区の水辺空間の魅力向上に努めてまいります。
最後に、オリンピック・パラリンピック競技大会において顕著な功績を残された区民等が区の関連イベントに参加する仕組みづくりについてのお尋ねです。区内在住のパラリンピアンである高田千明選手には、区主催イベントに積極的にご協力いただいており、昨晩、新橋SL広場で開催した東京2020パラリンピック開幕1000日前イベントにもご参加いただきました。
また、本年10月に行われたイベントには、区内企業のアスリートにご参加をいただくなど、企業連携を通じて、在勤者のオリンピアン・パラリンピアンのイベント参加を推進しております。今後も、区にゆかりのあるオリンピアン・パラリンピアンの情報収集、集約に努め、イベントへの参加を積極的に呼びかけてまいります。また、パラリンピアンにつきましては、特に競技活動に対する活動支援の観点から、有償でのイベント参加など、区関連イベントへの参加に向けたきめ細かな仕組みも構築してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題につきましては、教育長から答弁いたします。

【教育長答弁内容】

◯教育長(青木康平君) ただいまの自民党議員団の黒崎ゆういち議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、大会のレガシーが地域に残るまちづくりについてのお尋ねです。
まず、イギリスオリンピック委員会との取り組み内容と今後の展望についてです。本年10月17日、区は、イギリスオリンピック委員会と、港区とイギリスオリンピック委員会間におけるスポーツ・サービス・センターの設置、運営等の交渉に関する覚書を締結いたしました。覚書に沿って、教育委員会は、東京2020オリンピック競技大会期間中、イギリス代表選手のトレーニングやメディカルケア、ミーティング等を行う施設として、お台場学園の体育館やプール、ランチルームなどを提供する予定でございます。
一方、イギリスオリンピック委員会は、区やお台場学園が主催するイベントにイギリス代表選手等を参加させる機会を積極的に設ける予定となっております。このことから、教育委員会としては、今後、イギリスオリンピック委員会と連携して、イギリス代表選手などが事前キャンプ等で来日した際に、オリンピック競技種目のスポーツ教室や、イギリスの文化・歴史に触れる学習の場をつくるなど、お台場学園の児童・生徒や地域の皆さんをはじめ、多くの区民がイギリス代表選手等と交流できる機会を積極的に創出してまいります。さらに、これらの取り組みを行うことで、スポーツを通じた港区とイギリスの交流を東京2020大会後のレガシーとして、区民とともに継承していきたいと考えております。
最後に、オリンピック・パラリンピック教育プログラムについてのお尋ねです。現在、全ての幼稚園、小・中学校において、オリンピック・パラリンピック教育を教育課程に位置づけ、外国文化についての学習とともに、アスリートとの交流などを実施しております。ことしの10月31日には、赤坂小学校に、バンクーバー・パラリンピック競技大会アイススレンジホッケー銀メダリストである、区内企業のNEC所属の上原大祐選手をお招きするとともに、11月8日には、港南小学校に、リオデジャネイロオリンピック競技大会の女子100メートル、走り幅跳びに出場した区内在住の高田千明選手をお招きし、競技体験や模範演技を披露していただくとともに、これまでの経験などを子どもたちに語っていただきました。子どもたちからは、夢や希望を持って諦めないことの大切さを学んだという感想がありました。今後も、区民をはじめとしたアスリートとの交流を充実させ、各幼稚園、学校での体験的なオリンピック・パラリンピック教育を積極的に進め、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が、子どもたちにとって生涯にわたるかけがえのないレガシーとなるよう取り組んでまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
▼上記質問の動画は「港区議会インターネット録画配信システム」で下記URLでご覧いただけます↓
http://www.minato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=speaker_result&speaker_id=133

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