平成30年度予算特別委員会「教育費」質問&答弁(議事録)

◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いします。
 最初に予算配分についてお伺いします。
 初めに予算編成の重点施策についてです。地域共生社会の実現をテーマに3つの重点施策、1、あらゆる人が安全・安心に過ごせる快適でにぎわいのあるまちへの取組、2、全ての子どもたちを健やかに育むまちへの取組、3、誰もが健康で心豊かにいきいきと暮らせるまちへの取組を掲げ、優先的に財源を配分しています。
 教育費は、特に2の全ての子どもたちを健やかに育むまちへの取組が主だと思いますが、本取り組みは子育て支援分野も含めて構成されております。純粋に教育費において、どのような重点施策を掲げて予算を編成されたのか、お伺いいたします。

◯庶務課長(中島博子君)  教育費では、重点施策、全ての子どもたちを健やかに育むまちへの取組の一つである児童・生徒数の増加に対応した教育環境の整備など一人ひとりの個性を伸ばし可能性を広げる教育の充実において、タブレット端末活用推進事業として、モデル校での児童1人1台のタブレット端末を配備するための経費を計上しております。
 また、児童数、学級数の増加への対応は喫緊の課題であり、学校施設建設費として、(仮称)芝浦第二小学校の新築、また赤羽・芝浦・高輪台の各小学校、赤坂中学校の増築・改築経費を計上してございます。
 また、教職員が子どもたちと向き合える時間の創出においては、新たに教職員の働き方改革推進事業として教職員の出退勤管理システムの導入経費や、学校施設開放の民間委託、部活動指導員の配置拡大のための経費を計上してございます。
 さらに重点施策、誰もが健康で心豊かにいきいきと暮らせるまちへの取組においては、東京2020大会に向けた港区ならではの文化プログラムの推進、障害者スポーツの振興として、障害者スポーツの観戦、体験機会の創出など、障害者スポーツの普及に係る経費を計上しております。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。
 次に、前年度比マイナス59億円の内訳について伺います。
 教育費の増減額を前年度と比較するとマイナス59億円となり、平成30年度は168億8,700万円となっています。先ほどお話があった施設建設費の増減がかなりの部分だと思いますが、その内訳についてお伺いいたします。

◯庶務課長(中島博子君)  減額となりました主な内訳としては、教育センター維持管理、小・中学校の特定天井等耐震化改修、白金台幼稚園・港南幼稚園園舎増築。新郷土資料館開設準備などで計上した工事の完了が挙げられます。
 そのほか、学校情報化アクションプラン、学校教育推進計画、幼児教育アクションプログラムを完成したことによる減額、私立幼稚園児用の防災ヘルメットの買いかえを完了したことにより減額となりました。

◯委員(黒崎ゆういち君)  わかりました。
 ハードの部分が非常に多い中で、ソフトの新規の取り組みが導入されて、よりよい学校現場になっていくことにはなろうかと思いますが、学校現場からの予算要望についてお伺いします。
 教育委員会の予算編成に対するお考えはよくわかりました。一方、学校現場からの要望は、どのように予算案に反映されているのでしょうか。学校現場からのヒアリングや要望を予算に反映するプロセスについて、お聞きいたします。また、本プロセスを経て今回予算化された項目や事業があれば、あわせてお聞かせいただければと思います。

◯庶務課長(中島博子君)  例年、学校予算については5月下旬ごろから調査を行い、各学校・幼稚園からの物品等の要望について、用途、使用頻度、必要としている理由、措置できない場合の影響など詳細な内容を記した書面で確認いたしております。その後、事務局の所管課が各校の事務職員または副校長にヒアリングを行い、備品等の老朽状況と各校の実態を十分に確認した上で、要望事項を予算案に反映します。
 また、あわせて全幼稚園・全学校に共通する事項については、校園長会からの現状、理由を付した具体的事項として、品目、数量、金額などの提案をもとに予算案に反映します。
 平成30年度予算の編成に当たっては、従来必要な学校のみ行っていたヒアリングを全校に実施し、教育委員会事務局と学校が、現状や学校経営の重要性、必要性について情報を共有し、これまで以上に要求内容が精査された予算案であると考えます。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。ちょっとイメージしていたのが、物品の購入等の物に対するお話だと思います。
 既に取り組まれていたらすみません。例えば教職員の方が、こうあったらいいとか、こういう事業があったらいいというようなことも多分ヒアリングの中に入っていると思います。新規の取り組みや職員提案というのが区長部局の方にはあると思いますが、現場の方々からこういうプランが上がってきて、そして具体化されて横展開されるというようなプログラムなのか、メニューがあってもいいのかなと思いますので、よろしくお願いします。
 次に児童・生徒の増加への対応について伺います。
 まず港南地域の対応についてです。平成28年度予算特別委員会や平成28年度決算特別委員会、また一般質問等において、芝浦港南地区の児童・生徒の増加への対応についてお聞きしています。来年度の港南幼稚園、港南小学校、港南中学校の入学者数及び全校生徒数について、どのような見通しになっているのか、お伺いいたします。なお、その見通しは、一昨年に調査した想定数字と比較した場合、どのような増減となっているのかもあわせてお伺いいたします。

◯学務課長(山本隆司君)  初めに港南幼稚園についてです。来年度入園予定者数は66人、全園児予定数が186人。一昨年の入園児想定数が66人、一昨年には全園児想定数は推計しておりませんでした。次に港南小学校についてです。来年度入学予定者数が231人、全児童予定数が1,242人。一昨年の入学想定数が228人、一昨年の全児童想定数が1,258人。最後に港南中学校です。来年度入学予定者数が104人、全生徒予定数が281人。一昨年の入学予定数が99人、一昨年の全生徒想定数が297人です。来年度の入学予定者数と一昨年の想定数値と比較したところ、大きな乖離は見られませんでした。

◯委員(黒崎ゆういち君)  すばらしい推定数字だと思います。ということは、今のところは想定の範囲の中で進んでいるということなので、教室数の増加についても対応できているという話だと思います。
 次にJR新駅の対応について伺います。
 先日JR東日本が、JR品川新駅の計画を新たに発表しました。その計画では、2024年度までに、延床面積約85万5,000平方メートルの施設を建設。使用用途は業務、商業、文化施設、住宅、ホテル、駐車場などで、住宅戸数は約1,000戸。2024年ごろにまち開きをする予定とのことです。さらに昨年12月からUR都市機構港南三丁目市街地住宅は、民間ディベロッパーにオーナーチェンジされ、今後新たな再開発が始まる可能性があります。
 このような港南地域における再開発は、児童・生徒の増加に直結する問題になると思いますが、本2計画に対する対応策をお聞きいたします。また、JR品川新駅の住宅は、どの小学校の通学区域となるのか、決まっているのであればお伺いいたします。

◯学務課長(山本隆司君)  港南地域の再開発における児童・生徒の増加については、再開発の動向を注視し、今後児童・生徒数の推計をする中で、教室数等不足が生じないように適切に対応してまいります。
 また、JR品川新駅の住宅の通学区域は、住居表示がまだ確定していないため、現時点では決まっておりません。

◯委員(黒崎ゆういち君)  わかりました。まだまだ先の話ですけれども、多分あっという間に話が進んでいくことになると思いますので、引き続き注視の上、ご対応いただけたらと思います。本当に場所の確保も、いろいろな手法をとられていると思いますが、決め手になるようなものについては、私たちも頑張って模索していきたいと思います。
 次に、現在の(仮称)芝浦第2小学校の整備状況についてお伺いいたします。

◯学校施設整備担当課長(瀧澤真一君)  (仮称)芝浦第2小学校は、平成29年度に基本設計を実施し、平面計画やセキュリティー計画及び建物の外観など、地域及び保護者の代表者などで構成する基本構想・基本計画策定委員会のご意見を踏まえ、検討を行いました。
 また、施設形状が類似している他区の8階建て、屋上校庭がある小学校を視察し、エレベーターの収容人数や日常動線である階段や廊下の状況、及び体育授業や休み時間での生活状況などを把握し、基本設計に反映しております。
 平成30年度は実施設計に入り、より詳細な施設計画を進めてまいります。同時に、地域や保護者などの代表者で構成する(仮称)開設準備委員会を新たに設置し、通学区域や学校名、校章、校歌、学校運営方針などの小学校の管理・運営に係る課題について検討してまいります。
 引き続き、地域に親しまれ、港区スポーツセンターや芝浦公園などの隣接する立地を生かした特色のある学校づくりを進めてまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  港区としては、本当に久しぶりに純粋な新設校になると思いますので、いろいろ今まで集められた賢智等、経験を生かして、地域一体となった学校づくりを進めていただければと思います。
 次に出前授業について伺います。
 まず、機会の創出と運用方針についてです。港区においての出前授業は学校支援地域本部の事業として行われています。子どもたちを地域で育む取り組みである出前授業は、地域の皆さんや団体・企業がその要請を受けてとり行われていると思います。
 一方、出前授業は、誰かが学校につなぐ仲介の役割を担わなければ実現しないものでもあります。現在、出前授業はどのような機会に創出されるのでしょうか。また、出前授業の運用方針が定められているのであれば、あわせてその内容をお伺いいたします。

◯生涯学習推進課長(増田玲子君)  出前授業は、各幼稚園、小・中学校の教員が、各教科や総合的な学習の時間などに希望した場合、実施します。教員は、全校に配布している約180の出前授業の情報をまとめた、みなと学校支援情報から希望する出前授業を選び、教育委員会事務局配置の学校支援コーディネーターを経由して、企業などの授業提供者と日程や内容等の調整の上、実施しております。
 また、学校支援コーディネーターは、出前授業を視察し、児童・生徒に適切な内容となっているか、改善点がないかなどを確認し、必要に応じて企業等へお伝えし、授業の質の向上を図っております。
 さらに、学校の実情を踏まえた支援を行うため、平成29年度から小学校4校に配置した地域コーディネーターが地域の企業等と調整し、夏季体験講座などを実施しています。
 今後もこの取り組みを進め、出前授業の充実に努めてまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  180もプログラムがあるということは、すばらしいことだと思います。
 次に、全校展開と運用体制についてです。
 出前授業は、講師や目的により、その規模や内容が大きく変わっていくと思いますが、大変有意義な機会ですので、可能であれば、ぜひとも港区全校に対して展開を図っていただきたいと思います。
 現在、出前授業の全校展開については、どのようになっているのでしょうか。また、謝礼や交通費等の支払い規定等の運用体制は整備されているのでしょうか。お伺いいたします。

◯生涯学習推進課長(増田玲子君)  出前授業は、授業の対象となる学年は決まっていますが、全校で実施できる内容となっております。これまで出前授業の感想や出前授業を紹介する学校支援ニュースを各学校に配布し、出前授業の魅力を伝えるなど、多くの小・中学校で出前授業が実施できるよう、取り組んでまいりました。
 今後、学校支援コーディネーターが出前授業の視察を通し、推奨できると評価した授業や子どもたちや学校に好評であった授業については、学校支援ニュース等で周知を図るなど、より多くの学校で実施できるよう、努めてまいります。
 なお、出前授業提供者への謝礼や交通費等の支払いにつきましては、企業等の社会貢献活動として原則無償で行っていただいております。

◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。
 例えば小学校のPTAの方々から、うちの勤めている会社でこういうのがあるよと、個別に学校に持ち込まれる出前授業の相談やプログラムは結構あると思います。それ以外にも、地域の方から話があったというときの共有方法についてです。
 今お話を聞くとニュースという手段があると思いますが、やはり企業の方々にとっても、スポーツの分野にとっても、もっとやってくれと言われることが、喜びややる気につながると思います。毎年1回限りとするやり方もあるのかもしれませんが、ぜひ有意義な授業を横展開していく後押しを、教育委員会にはしていただきたいと思います。
 一方オリンピック・パラリンピックの教育にもなると思いますが、アスリートなどは特に善意でやっていただくわけです。1回2回なら無償でやってくださるとは思いますが、やはりそれが18校、20校となってきたときに、そこまでやる時間と手間をどうやりくりしていただくのか。将来の財産である子どもたちのために自分はやらなければいけないのだと思っていただけるような枠組みをどうつくっていくかということは重要だと思います。
 イベントではないので、過分な謝礼等は必要ないのですが、せめて交通費や謝礼という規定があれば、なおさら続いていくシステムになっていくと思いますので、ご検討をお願いします。
 最後に企業との連携についてです。
 総務費でもお聞きしていますが、企画経営部内に企業連携推進担当が新設されます。CSRや地域貢献、次世代育成のプログラムを用意している団体や企業は多数あると思います。今そのようなプログラムも出前授業でされているとお聞きしていますが、教育委員会としても企業連携推進担当と連携し、積極的に出前授業をお願いしていくべきだと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

◯生涯学習推進課長(増田玲子君)  出前授業は、主に企業等の社会貢献活動として、その知識・技能などを提供していただくことから、企業との連携をより深めるため、来年度新設される企業連携推進担当との連携が必要不可欠と考えております。
 今後、企業連携推進担当との連携や企業等との協働を積極的に進めることで、より多くの情報を収集し、多様な分野のメニューや出前授業数の増加につなげ、児童・生徒により多くの体験の機会を提供できるよう努めてまいります。

◯委員(黒崎ゆういち君)  総務費でも述べましたが、区側が一方的にメリットを享受するというやり方では続かないと思います。そういう意味では、企画経営部と連携しながら、その企業が参加することによって企業側にとってもメリットが出るような形ですね。それが子どもたちと一緒に写真を撮るのか、商品の宣伝をするのかわかりませんが、ぜひ柔軟な対応をしていただいて、何度も申し上げているような継続していける体制をつくっていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

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