平成29年度決算特別委員会「民生費」質問&答弁(議事録)

○委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いします。障害者就労支援について伺います。
 総務費においても、指定管理者の選定過程における障害者雇用の状況について、我が会派をはじめとして、多くの委員が触れられていましたが、区では港区基本計画において、区政運営の方向性を港区ならでは地域共生社会の実現と定めている中、年齢、国籍、障害の有無等の区別なく、住み、働き、訪れる全ての人が自分らしく生き生きと活動しながら快適に過ごせる社会を実現するための取り組みを推進するとしています。全庁が連携して受け入れ体制も含めた積極的な取り組みの推進と意識の徹底をお願いする次第です。
 その流れを踏まえまして、民生費においては障害者就労支援についてお聞きします。
 区では、障害者就労施設で就労する障害者、在宅で就業する障害者の経済面の自立を進めるために、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆる障害者優先調達推進法に基づき港区における障害者就労施設等からの物品等の調達方針を定め、障害者就労施設等から優先的、積極的な物品やサービスの調達を推進するため、優先調達方針に基づく障害者就労支援施設等からの物品等発注の手引を作成し、区内事業者に利用を呼びかけています。現在、優先調達方針に基づく障害者就労支援施設等からの物品等発注の手引に記載されている物品及び役務の提供内容についてお伺いいたします。

○障害者福祉課長(横尾恵理子君) 物品の内容といたしましては、事務用品・書籍、食料品・飲料、小物雑貨、生花、防災用品などです。具体例としましては、記念品として焼き菓子、会議の際の飲料、式典の際の壇上の花などです。役務の内容としましては、印刷、清掃、情報処理、テープ反訳、飲食店等の運営などです。具体例としましては、封筒の印刷、名刺の作製、宛名シール張り、公園の清掃作業などでございます。

○委員(黒崎ゆういち君) 昨日の環境清掃費の款でも分別などの質疑があったと思いますけれども、これからますます提供内容の充実を図る方向で進められていくことになるかと思います。その際の課題や懸案事項があれば教えていただきたいと思います。

○障害者福祉課長(横尾恵理子君) 年度によって障害者就労施設等で働く障害者の人数の変動により、作業能力が変化し、受注に応える体制が整わない場合や、納期が短く量の多い発注については、障害者就労施設等の人員体制や作業スペースの確保が整わず、断らざるを得ない場合がございます。区では、予算編成説明会などにおいて障害者就労施設等へ発注可能品目を優先的に調達するよう方針を定め、周知を徹底することはもとより、量の多い発注につきましては、企画段階から障害者就労施設等と相談・調整するなどの工夫により、発注可能品目の拡大及び調達額の拡充に努めてまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) 作業能力と納期が問題だということですね。
 次の質問にも関連しますが、平成26年経済センサスによると、港区は事業所数が約4万カ所、従業員数は100万名です。ことし4月に改定された最新の障害者の法定雇用率は、民間ベースで2.2%ですので、この数字を単純計算すると約2万2,000人の障害者の方が区内で働いていることになります。正確には45.5人以上雇用する事業主が対象となりますので、これほど多くはないものの、港区は日本において多くの障害者の方が密集して働いている唯一無二の地域といっても過言ではありません。多様のニーズがあり、民間企業や団体ごとに個別対応をしている事例が既に数多く存在する港区において、全体を最適化していく機能が必要だと考えます。区内の民間企業や団体も含めた障害者就労支援のプラットホームを、区がリードして構築していくべきだと考えますが、ご見解をお伺いします。

○障害者福祉課長(横尾恵理子君) 区は、障害者雇用に対する人材確保や就労定着などの企業からの要望を踏まえ、就労支援事業所を対象とした就労支援ネットワーク会議において、ハローワークや関係機関と情報共有などの連携を図ることで、障害者が住み慣れた地域で安心して働き続けられるよう支援を行っております。今後は、国や東京都の就労支援策の動向について注視するとともに、障害者就労支援のプラットホームについては、個々の障害者に合った一般就労への移行や就労定着支援の強化において、区の役割を果たせるよう努めてまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) かなり大きな課題だと思いますが、ぜひ積極的に推進していただければと思います。
 次に、保育園に子どもを預ける保護者への支援について伺います。働きながら子育てをする環境をつくることは、武井区長が掲げる子育てするなら港区を目指す以上を満たさなければならない大切で大きな要素です。保育園の定員拡大も含めたハード面での整備は現在も積極的に取り組んでいただいておりますので、1,000名の定員拡大の達成に向け、改めて早期の実現をお願いしたいと思います。
 一方、ソフト面では、それぞれの保育園において保護者からの要望に対し真摯に対応していただいていることと思いますが、保護者にとって勤務時間中に保育園から緊急連絡が入ることは大変悩ましい問題であります。この緊急連絡の多くは、登園後に子どもが発熱した際などに行われると思いますが、現在、保育園から保護者に緊急連絡をする場合の統一された指針があるのでしょうか。お伺いいたします。

○保育課長(山越恒慶君) 保育園では、お預かりしている児童が、けがや急病などで保護者への緊急連絡が必要と判断した場合には、あらかじめ保護者が指定する緊急連絡先に連絡をさせていただいております。アレルギーによるアナフィラキシーショックなどの生命にかかわるものにつきましては、直ちに保護者へ連絡するようマニュアルに定めておりますが、発熱や嘔吐などの場合は既往歴やその日の様子など、個々の児童の状況に応じて対応しております。なお、保護者の仕事の都合上すぐのお迎えが難しい場合には、別室で看護師が児童の体調を確認しながら、適切に保育を行っております。

○委員(黒崎ゆういち君) ありがとうございます。働きながら子育てをする保護者の立場になってみると、勤務時間中は安心できる場所に子どもを預け、個々の能力を職場で発揮して企業の競争力に貢献できることが理想です。しかし、保育園側にもパンデミックの予防などのため緊急連絡による引き取り依頼は必須だと考えます。先ほど事例があったとおりです。子どもが病気のときに保護者が仕事を休むことができない場合、事前に登録した民間事業者が一時的に保護者の自宅で保育を行う病児向けサービスについては区でも助成制度を設けています。この仕組みがより利用されることで、子育て世代の突発的な退社や休業という社会的な問題解決が進むと考えられます。区では病児・病後児保育室を充実し、きめ細かい支援を行っていますが、ますます子どもが増えていく状況で、働きながら安心して子育てができる環境を柔軟かつタイムリーに提供することは、自治体単独では限界があると思います。
 そこでまず、区の訪問型病児・病後児保育利用料助成制度の利用実績と、サービスの利用周知の状況についてお伺いします。あわせて、先ほどの障害者就労支援と同様に、多様のニーズがあり、民間企業や団体ごとに個別対応している事例が既に数多く存在する港区において、全体を最適化していく機能が必要だと考えます。区内の民間企業も含めた保育園を利用する保護者の支援に向けたプラットホームを推進していただくべきだと考えますが、ご見解をお伺いします。

○保育課長(山越恒慶君) 園児が病気で登園ができないときに、自宅で保育を行う訪問型病児・病後児保育利用料助成は、昨年度、延べ110件のご利用をいただいております。本制度につきましては、保育園の入園の際、事業の案内を個別に行うなど、丁寧な周知に努めております。
 保育園を利用する保護者を支援するための区内の民間企業を含めたプラットホーム、連携体制につきましては、大変重要な視点であると考えております。今年度予定している港区子ども・子育て支援事業計画の改定に向けたアンケート調査を活用し、子どもが病気となった際の保護者のニーズを把握するなど、まずは情報収集を行ってまいります。

○委員(黒崎ゆういち君) よろしくお願いします。保護者の方は、当然自分の仕事が中断されてしまって、仕事中に帰らなければいけないということも、やはり懸案事項としてあるのですけれども、一方で自分の子どもが嘔吐して、周りのお子さんに迷惑をかけているということに対して、保護者間の関係の中で非常に申しわけないと思う方が結構多いようです。当然、保育園の先生に対してはありがとうという気持ちがあるのですが、迷惑をかけないためには一刻も早く戻って自分の子どもを引き取ろうと思っている心理的な要因もあるようです。この辺も含めて、よりよい制度になっていただくようお願い申し上げて、質問を終わります。

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