平成26年度決算特別委員会「産業経済費」質問&答弁(議事録)

【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  よろしくお願いします。産業経済費については2つの項目でご質問をさせていただきます。
 まず、バリアフリー観光の推進についてです。さきの本会議において、我が会派の小倉りえこ議員の一般質問に対し、区長は、観光政策の効果として、バリアフリーや多言語化など、観光客が快適に滞在できる環境を整備することが区民生活の質の向上につながるとご答弁をいただきました。この視点は、地方自治体が観光政策を展開するにあたって、非常に重要な視点だと感じております。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会においても、障害者によるスポーツの祭典であるパラリンピックがあわせて開催されます。大会開催期間中には、競技者であるパラリンピアンをはじめその支援者、支援団体、観光客が数多く東京を訪れることになります。そして、その際には、障害の有無にかかわらず、東京を訪れる全ての方々に安心かつ快適な滞在を提供し、そして東京観光、とりわけ港区の観光を楽しんでいただきたいと思っております。
 そこで質問ですが、観光客に対し、区内の観光施設等におけるバリアフリー情報を積極的にかつきめ細かに発信し、情報提供すべきだと思いますが、本件について区のお考えをお聞かせ願います。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君)  高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児連れ、外国人など、誰もが気兼ねなく快適に旅行を楽しんでいただくユニバーサルツーリズムの考え方は、観光政策の推進にあたって極めて重要だと考えております。区では主にまちづくり部門と福祉部門が連携し、また民間施設等におきましても、バリアのない環境づくりに取り組んでまいりましたが、観光政策の視点からもバリア解消に向けた問題意識を持って、この課題に取り組む必要があると考えております。
 観光客に対するバリアフリー情報の提供につきましては、これまでも観光マップや観光・街区案内標識にだれでもトイレの位置を表示するといった対応をしてまいりました。これらに加えまして、本年7月からは、スマートフォンを活用したアプリである港区まち歩きナビにおきまして、港区バリアフリータウンマップの情報をもとに、観光施設のバリアフリー対応情報の掲載を開始しております。これによりまして、施設ごとに、出入り口のスロープや車椅子使用者用駐車場の有無、多目的トイレ、車椅子の貸し出しなどといった情報を入手していただけるようにしております。今後もさまざまな観光情報媒体を活用しましてバリアフリー情報の提供の取り組みを強化してまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。非常に有効な手段を施策としてとられていると思いますので、今後はその周知・広報について積極的に進めていただきたいと思っております。
 次に、バリアフリー観光ルートの提供についてお伺いします。先ほど、個々の観光施設等におけるバリアフリー情報の発信について取り組んでいただけること、また今後もその取り組みを強化していただけることをお聞きしました。今、一歩前へ踏み込んで、社会福祉協議会によるバリアフリータウンマップの情報や、区が蓄積しているまち歩きルートなどの情報を組み合わせて、車椅子の方が区内観光を安心して快適に楽しめるルートを設定し提供するといった取り組みも有効ではないでしょうか。このような取り組みにより、観光客だけではなく、区内にお住まいの高齢者や障害者、ベビーカーを利用する子ども連れの方々にも、区内観光やまち歩きを楽しめるまち、そして暮らしやすい、外に出やすい、人に優しいまちとして、港区をアピールできるのではないかと思っております。
 区内に点在しているバリアフリー化された観光施設や商業施設などを線で結びルート化する取り組みをぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君)  本年3月に策定しました第2次港区観光振興ビジョン後期計画におきまして、バリアフリー対応の交通機関や施設を組み合わせた観光ルートの開発を掲げております。この方向性を踏まえまして、今年度はまず観光ボランティアの皆様に、スキルアップ講座におきまして、障害者への対応やユニバーサルツーリズムの考え方について学んでいただきまして、今後はバリアフリーの視点でのまち歩きコースなどの検討もしていただく予定です。今後も観光ボランティアや社会福祉協議会、港区観光協会などと連携しまして、観光振興ビジョンに掲げた、誰もが不自由なく快適に楽しめる観光ルートの開発や周知に取り組んでまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございました。
 次の項目に移ります。観光ボランティアの育成についてです。観光ボランティアについては、過去の代表質問で我が会派の二島豊司議員や鈴木たかや議員が取り上げ、いずれも区長から前向きなご答弁をいただいております。この内容を踏まえ、もう少し掘り下げてお聞きしたいと思います。
 区では、平成22年度から観光ボランティア育成講座を開始し、43名の方が修了していると聞いております。また、現在は訪日外国人観光客の増加を踏まえ、多言語対応可能な国際観光ボランティアの育成にも取り組んでおられます。講座を修了したボランティアの方々は、現在、自主活動グループを立ち上げて、まち歩きツアーなどに積極的に取り組んでいただいておりますが、将来的に観光ボランティアは100名規模にまで増える計画ですので、今後ますます質・量ともに活動の幅を広げていただきたいと思っております。
 そこで、観光ボランティアの今後の展開を実施体制も含めてどのように考えているか、区の考えをお聞かせいただきたいと思います。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君)  現在、港区観光協会に観光ボランティアガイド事業の事務局機能を担っていただくことを前提に、観光ボランティア、観光協会、区の3者による会合を開催しておりまして、今後の活動方針や役割分担などについて、検討を進めております。観光ボランティアガイド事業の今後の展開としましては、現在、参加者多数で好評を得ております募集型のまち歩きツアーのさらなる充実のほか、現在育成しております国際観光ボランティアによる外国人向けのツアーの実施、観光客の要請に応じてガイドを派遣する受託型の観光案内の実施、大型イベント開催にあわせた観光案内の実施など、活動の幅を広げる検討を進めております。また、観光ボランティアの皆様には、ボランティア育成講座やツアー実施の過程で得た豊富な観光知識や経験を生かしまして、観光インフォメーションセンターのスタッフとしてご活躍いただくこともあわせて検討を進めております。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。その流れでご質問なのですが、観光協会に事務局機能を担っていただくというお話がありましたので、それを前提に、今進められているということだと思います。港区観光協会が事務局機能を担うということは非常に自然であり、また効果的だと感じております。港区観光協会が事務局機能を担うメリットとして、会員間のネットワークを生かして利用者の利便性向上につなげられるということもありますので、ぜひ活発な議論をしていただき、組織の活性化を前提にその方向で進めていただきたいと思っております。
 さて、先ほどのご答弁のとおり、今後観光ボランティアの皆さんの活躍の場が広がることは大変喜ばしいことですし、そのような場がもう目前に迫っていると思いますが、それに伴ってボランティアの皆さんのガイドスキルの向上も求められてくる時期かと思います。観光ボランティアのガイドスキル向上のためにどのような支援を考えているか、お聞かせいただければと思います。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君)  観光ボランティアの皆様には、自主的に研修会を開催していただくなど、ガイドスキルの向上に励んでいただいております。区も今年度からスキルアップ講座を開始し、観光ボランティアの皆さんがわかりやすく丁寧な観光案内ができるよう、ガイドスキルの向上を支援しております。今年度のスキルアップ講座では、障害者への対応やユニバーサルツーリズムの考え方について学んでいただいたり、江戸東京博物館でのフィールドワークによりプロフェッショナルなガイドスキルを学んでいただいたり、また麻布十番商店街にご協力いただきまして、商店街の名物となっているお店や商品などを紹介するノウハウなどを学んでいただいたりといったことをしてございます。今後も引き続き、きめ細かで質の高い観光ガイドを展開していくために、観光ボランティアの皆さんのスキル向上を支援してまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。ボランティア組織というものは非常に継続性が難しいものだと思います。皆さんのモチベーションを上げて、いかに区のために、そして東京、日本のために働いていただく環境をつくるかということが非常に重要だと思います。最後に、将来にわたり観光ガイド事業を継続して担っていただくためには、観光ボランティアの皆さんの自主性は尊重しつつも、皆さんが抱えているさまざまな負担を区としていかに取り除いてあげるか、配慮してあげるかということが重要だと思います。この負担軽減についてどのような策があるか、お聞かせいただければと思います。
【答弁内容】
◯観光政策担当課長(重富 敦君)  現在、来年度以降の事業展開や実施体制について検討を重ねる中で、観光ボランティアの皆様が負っている事前視察や当日の交通費、施設の入館料・入場料、参加者へ配布する資料作成費用などの負担をどう解消していくかについても、意見交換を進めております。観光ボランティアの皆様の意欲に応え、将来にわたって安心して活動を続けていただけるよう、ほかの自治体の例なども参考に、観光ボランティアの皆様と話し合いながら負担軽減策を検討してまいります。
【質問内容】
◯委員(黒崎ゆういち君)  ありがとうございます。金銭的な負担の軽減というところは一番だと思いますが、やはり何よりも、先ほど申し上げましたとおり、前向きに取り組んでいただく環境をつくっていくという意味では、観光ボランティアの皆さんの地位向上が必須だと思われます。例えばバッジをつけたりエンブレムをつけたり、そのような視覚的に、皆さんから見て尊敬されるというか、ボランティアでここまでやってくれていると思うような施策についてもぜひ考えていただき、前に進めてもらいたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
▼上記質問の動画は「港区議会インターネット録画配信システム」で下記URLでご覧いただけます↓
http://www.minato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=speaker_result&speaker_id=133

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